2025-11-05 コメント投稿する ▼
社民党新垣議員離党届返送で党存続危機が深刻化 福島党首のくら替え拒否が決定打
社民党の新垣邦男衆議院議員が2025年11月2日に離党の意向を発表してから3日が経過しましたが、同党は5日の常任幹事会で協議した結果、新垣氏が郵送した離党届を返送する方針を決定しました。 新垣氏は2025年7月の参議院選挙後から継続的に、党の議席拡大のために福島氏の衆議院転出を提案してきましたが、理解を得られませんでした。
社民党は前身の日本社会党結成から80年という節目を迎えたばかりでしたが、唯一の衆議院議員を失う危機に直面し、党の将来に重大な影響を与える事態となっています。
離党届返送の理由は党規約違反
社民党の服部良一幹事長は5日、新垣邦男議員が10月31日に党本部へ郵送した離党届について「党規約違反により無効」とする談話を発表しました。党規約では離党届は所属する都道府県連合、この場合は沖縄県連合に提出する必要があるとされており、全国連合への直接郵送は手続き上認められないとしています。
福島瑞穂党首は5日の記者会見で「国会議員、予定候補者増やしましょうよ、色々な提案もしてきましたし」と語り、新垣氏の離党理由に困惑を示しました。「党勢拡大ということであれば色々な形があるのに、なぜと正直分からないというのが正直なところです」と述べ、慰留に向けた努力を続ける姿勢を強調しました。
「新垣さんには党に残ってもらいたい、沖縄のために頑張ってほしい」
「衆院議員がいなくなったら社民党は終わってしまう」
「福島さんは本当に党のことを考えているのか疑問」
「もう社民党に未来はないと思う、新垣さんの気持ちも分かる」
「党首が変わらない限り何も変わらないでしょう」
社民党は離党届を返送することで、新垣氏の党籍維持を図る構えですが、新垣氏側の反応は不明であり、党内対立の解決には程遠い状況です。
福島党首のくら替え拒否が決定打に
新垣邦男氏が離党を決意した最大の理由は、福島瑞穂党首に対する衆議院選挙へのくら替え要請が拒否されたことでした。新垣氏は2025年7月の参議院選挙後から継続的に、党の議席拡大のために福島氏の衆議院転出を提案してきましたが、理解を得られませんでした。
現在の社民党は国会議員が3人のみで、うち衆議院議員は新垣氏1人だけです。このため、衆議院では立憲民主党会派に所属せざるを得ず、独立した会派として活動できない状況が続いています。衆議院で会派を組むためには最低2人の議員が必要で、新垣氏は「党名を名乗れないのであれば、今後も厳しいという思いを強くしていた」と述べています。
新垣氏は2021年の衆議院選挙で沖縄2区から初当選し、現在2期目を務めています。前任の照屋寛徳氏から引き継いだ議席で、2024年の衆議院選挙でも自民党候補を破って再選を果たしました。しかし、社民党全体では小選挙区・比例代表合わせて新垣氏以外に当選者はおらず、党勢拡大への道筋が見えない状況が続いています。
政党要件維持の綱渡りが続く危機的状況
社民党は2025年7月の参議院選挙で比例代表の得票率2.06%を確保し、かろうじて政党要件を維持しました。タレントのラサール石井氏が比例代表で当選し、121万7823票を獲得しましたが、これは極めて厳しい水準での政党要件確保でした。
公職選挙法では政党要件として、国会議員5人以上または直近の国政選挙での得票率2%以上のいずれかを満たす必要があります。社民党は現在、国会議員3人のみのため、得票率2%の確保が党存続の生命線となっています。
2024年の衆議院選挙では得票率が2%を下回っており、参議院選挙での政党要件確保が絶対条件でした。今回の新垣氏離党が実現すれば、残る国会議員は福島瑞穂党首と大椿ゆうこ参議院議員の2人のみとなり、次回の国政選挙での得票率確保がさらに困難になることが予想されます。
新垣氏は11月2日の記者会見で「沖縄政策を前に進めるためには国会内で議員数を増やす必要がある一方で、社民党としての党勢拡大に限界を感じた」と説明しました。国民のための政治を実現するためには、より強固な政治基盤が必要との判断から離党を決意したとみられています。
福島体制への党内不満が表面化
今回の離党騒動の背景には、福島瑞穂氏の長期党首体制への党内不満があると指摘されています。福島氏は2003年から党首を務めており、20年以上にわたって党を率いてきましたが、この間に党勢は大幅に後退しました。
社民党は1996年の日本社会党からの改称時には国会議員30人を擁していましたが、現在は3人まで減少しています。特に2009年の民主党政権交代以降は議席減少が続き、政党としての影響力は著しく低下しています。
党内からは「後継育成が進まなかった」「地方組織の再構築なくして再生はない」との声が上がっており、福島体制の下での党運営に対する批判が強まっています。新垣氏の離党表明は、こうした党内の構造的問題を浮き彫りにした形となりました。
新垣氏は当面無所属として活動し、国会では引き続き立憲民主党会派に所属する意向を示しています。沖縄県内では玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」の枠組みの中で活動を継続するとしており、地元有権者への責任を果たす姿勢を強調しています。
今回の離党届返送により、社民党は形式的に新垣氏の党籍を維持しようとしていますが、本人の意思を無視した強硬手段との批判も予想されます。党の存続を巡る混乱は当面続くとみられ、日本の政治地図に新たな変化をもたらす可能性があります。