2025-04-21 コメント投稿する ▼
「政治生命を賭けた予備選に見切り」梅村みずほ議員が維新に離党届 組織運営の矛盾を指摘
梅村みずほ参院議員、日本維新の会に離党届 背景に“ガバナンス不全”と組織運営への不信
参議院議員・梅村みずほ氏(大阪府選出)は4月16日、日本維新の会の前原誠司共同代表を通じて、正式に離党届を提出した。報道が先行したことにより、支持者や有権者に混乱を与えたことを梅村氏は冒頭で謝罪し、「本来は党の決定を受けてから発信するつもりだった」と述べた。
離党理由:ガバナンス不全と運営の矛盾
離党の理由について、梅村氏は「日本維新の会のガバナンス不全」と明言。特に問題視したのは、次期参院選大阪府選挙区の候補者選定をめぐる党内予備選挙の運営だった。
この予備選は、第一次選考(府内特別党員による電子投票)では梅村氏が1位通過するも、第二次選考(特別党員と一般党員による郵便投票)で敗退し、公認候補に選ばれなかった。梅村氏は選挙結果について「自身の活動不足によるもの」と述べ、結果自体を離党理由には結び付けていない。
問題はその後の展開にあった。4月9日に行われた岩谷良平幹事長の記者会見における発言、すなわち「今回に限った措置」「大阪維新の選対中心に決定された」「次回実施は未定」などの趣旨の説明に強く疑問を呈した。
梅村氏は、「現職議員の政治生命に関わるほどの重大な制度であれば、全党で議論の上、ルール化されたうえで導入すべきだった」と批判。加えて、「幹事長自身が詳細を把握していない」と明かしたことから、制度設計や運営の責任の所在が極めて不明確だったと問題提起した。
“次の一歩”を阻む組織文化
梅村氏はこれまでにも、2022年の党代表選挙で「党内予備選のルール化」を公約に掲げるなど、制度化による透明性向上を訴えてきた。しかし今回の予備選は、ルールなき実験的な運用のまま終了。梅村氏は「次に繋がらない“たった一回の試み”」に、自身の政治生命が左右された現実に、大きな虚しさを覚えたという。
また、「予備選挙は日本維新の会の方針」と説明していた大阪維新の選対本部が、幹事長会見では「大阪維新の選対本部が中心に決定した」との発言に変わっていた点も矛盾しており、組織内部での責任転嫁のような構図が見られるとも指摘した。
地方組織と仲間たちの声
さらに梅村氏は、昨年末から地方の支部長や落選経験者から「突然支部を解散させられた」「リミットの短い指示が届き途方に暮れている」といった悲痛な声が届いていたと明かし、仲間への対応にも問題があると強調した。
「議員も支部長も人生があり、家族がある。人を大切にできる組織でなければ、人を大切にする日本は築けない」として、議員や候補者に対して一定の“慈愛”をもって接する組織運営が必要だと訴えた。
離党後の活動と今後について
梅村氏は、「任期満了の7月28日までは在籍し、離党届が審議されるまでは所属議員として活動する」としている。今後の参院選や衆院選への出馬については「白紙」であり、現時点では未定だという。
最後に、これまで支えてきた有権者や党員、ボランティア、秘書、党職員らに向けて深い感謝の言葉を綴った。
愚は愚なりに、不器用ながら全速力で突き進んできた1期6年に、反省はあれど後悔はない。政治のやりがいも苦しみも、すべてが私の糧になった」と振り返り、「維新がなければ無名の働く母で終わっていた
と綴る一方で、党への深い感謝と決別の意志がにじむ言葉で締めくくられた。
今後の展望
今回の離党劇は、日本維新の会が党内の民主的プロセスや人材への処遇をどう見直していくかが問われる大きな契機となる。党のガバナンスのあり方をめぐって、今後内部からの改革機運が高まるのか、それともさらなる離脱者を生むのか、注視が必要だ。