2025-05-19 コメント投稿する ▼
学校図書館の整備促進へ 読書習慣の衰退に危機感、佐々木議員が訴え
読書機会の減少に警鐘 佐々木議員、学校図書館の整備を訴え
全国の子どもたちが本に触れる環境が年々失われつつある。5月19日に開かれた参議院決算委員会で、公明党の佐々木さやか議員は、書店の減少や家庭環境の変化を背景に、読書習慣が子どもたちの中で弱まりつつある現状を取り上げ、学校図書館の整備を国家的課題として推進すべきだと訴えた。
新聞の導入と図書購入を後押し
佐々木議員は、読書を多くする児童・生徒ほど、思考力や感情のコントロールといった「非認知能力」や、理解力・記憶力といった認知的な力が高まる傾向にあるとする研究を紹介。こうした効果を十分に得るためには、子どもたちが最も身近に本と出会える場所、すなわち「学校図書館」が充実していなければならないと強調した。
特に注目すべきは、図書館に新聞を配置することの効果だ。佐々木氏は、地方自治体の中には、教育委員会が新聞社と直接契約することで、区内のすべての学校に新聞を導入している先進的な取り組みがあると紹介。この方法ならば、各学校の事務負担を軽減しながら、すべての子どもたちに時事情報へアクセスする機会を均等に与えることが可能になると語った。
5か年計画と文科省の方針
現在、文部科学省は「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づいて、図書購入や更新の促進、新聞の複数紙導入、さらには専門の司書配置の強化などを掲げている。佐々木議員の提案は、まさにこの国の方針と歩調を合わせたものといえる。文科省側も、自治体への広報や周知を今後一層進めていく考えを示した。
しかし、学校現場では予算や人手の不足から十分な整備が進んでいないのが実情だ。2022年度に行われた調査では、図書購入や新聞配備のための費用を予算化している自治体は全体の4割程度にとどまっていた。
もうひとつの課題 米価格への提言
また同日の委員会では、佐々木議員は農業政策についても言及。近年高騰するコメの価格をめぐり、流通実態を丁寧に把握し、消費者が納得できる形で情報を公開していくべきだと求めた。価格の変動が生活に与える影響を見過ごさず、消費者に寄り添った対応が必要だとする視点である。
教育と生活の質を支える制度づくりを
子どもたちの知的な成長を支える読書環境の整備と、生活に直結する食料価格の安定。佐々木議員の提起は、教育と生活という社会の根幹に関わる重要なテーマに正面から向き合ったものだった。
学校図書館の機能強化は、単なる“施設の整備”ではない。情報化社会を生き抜くための基礎的な力を、すべての子どもに平等に育むための、きわめて本質的な投資である。今こそ、国と自治体が連携し、未来への基盤をしっかりと築いていくことが求められている。