2025-07-03 コメント投稿する ▼
石垣のりこ候補「30年の政治の失敗に終止符を」 “アグリファースト”掲げるも減税政策の具体性に疑問
「アグリファースト」の訴えに現実味はあるか
宮城県選挙区から再選を目指す立憲民主党の石垣のりこ候補が、参院選公示日の7月3日、仙台市内で街頭演説を行い、農業重視の姿勢と消費税ゼロを主張した。「上げるべきは消費税ではなく賃金」「消費税はゼロにしたい」と語り、これまでの自民党農政を「30年間、農家を苦しめてきた」と強く批判した。
石垣氏は6年前の初当選時から一貫して農業重視を掲げており、今回の選挙でも「アグリファースト」を前面に打ち出している。農業を大切にするというスローガンは耳障りは良いが、実際の制度設計や財源の裏付けに関する説明は薄く、「理念先行」に終わる懸念も拭えない。
「農業第一は賛成だけど、結局また補助金頼りじゃないの?」
「消費税ゼロって、どうやって?政権取ってから言って」
「アグリファーストって言葉は良いけど中身が見えない」
「30年の自民農政が失敗なら、じゃあ具体的にどう変えるの?」
「農家としては、販路と価格の安定が欲しいんです」
「令和の米騒動」批判の先にあるべき提案
石垣候補は「コメ不足と価格高騰」を例に挙げ、自民党の農政を「補助金頼み」「統計軽視」と痛烈に非難した。だが、価格高騰の背景には天候不順や国際情勢の影響もあり、単純に与党の政策だけに責任を帰すのは現実を無視した議論に映る。
しかも、農産物価格の安定には市場と行政の調整が不可欠であり、需給バランスを読み誤れば、「備蓄米の放出」のような小手先の対応になってしまう。立憲民主党が今後、どのような「農政のビジョン」を持っているのか、選挙戦を通じて問われるべきである。
小川幹事長の演説と“国民負担の逆説”
応援に駆けつけた小川淳也幹事長は、備蓄米の無料提供について「ただ同然で配っても、結局は国民負担になる」と指摘。制度の表面だけでなく、「本質を見ろ」と語った。しかし、この批判はそのまま立憲民主党の過去のバラマキ政策にも跳ね返ってくる。
結局、減税よりも給付・支援に頼る傾向が強い立憲民主党において、国民負担の再分配構造は未だに整理されていない。消費税の減税を訴えながら、法人税や所得税の引き上げには踏み込まないという矛盾も指摘されている。
さらに小川氏は「自民党に代わる選択肢」と語り、選挙を「政権選択」と位置づけたが、具体的な国家像、外交戦略、経済の立て直し方などについては語らず、「政権交代ありき」の印象を残した。
「見放された30年」を変える覚悟が本当にあるなら
石垣候補は「非正規雇用の増加、実質賃金の低下、見放された30年を変える」と力強く訴えた。だが、これらの課題の原因は複合的であり、単に与党批判や“ゼロ税率”で解決するものではない。
たとえば、非正規雇用対策には企業の採用構造の見直しや、税制・社会保険制度の再設計が必要だ。労働分配率の改善には、賃上げに向けたインセンティブ設計や、法人減税と労働者への分配のバランスが不可欠だ。
また、農業を再生するには、輸出の促進、スマート農業技術の導入、インボイス制度の見直しによる小規模農家への配慮など、現場に根ざした制度改革が求められる。
「変える」と叫ぶだけでは、30年の政治の閉塞は打ち破れない。むしろ、制度の本質を理解し、支出の透明性を高め、税のあり方を根本から見直す現実的な政治が必要だ。