2025-11-12 コメント投稿する ▼
木原官房長官が核持ち込み事実上容認 非核三原則見直し否定せず
木原氏は記者会見で「政府としては非核三原則を政策上の方針として堅持している」と述べながらも、安全保障関連3文書の改定における非核三原則の扱いについては「具体的な内容について今後検討を進めていく。 木原氏がこの答弁を引き継ぐと明言したことは、現政権が非核三原則を便宜的な政策としか考えていないことを露呈しています。
国是を軽視する政府の危険な姿勢
木原氏は記者会見で「政府としては非核三原則を政策上の方針として堅持している」と述べながらも、安全保障関連3文書の改定における非核三原則の扱いについては「具体的な内容について今後検討を進めていく。現時点で予断することは差し控える」と明言を避けました。
さらに深刻なのは、「持ち込ませず」の原則について、2010年の岡田克也外相(三重3区選出)氏の答弁を引き継ぐとした点です。当時の民主党政権で岡田氏は「日本の安全が守れない事態が発生したとすれば、その時の政権が命運を懸けて決断し、国民に説明する」と述べ、有事の際の核持ち込みを事実上容認していました。
この岡田答弁は、米軍の核搭載艦船の寄港について「時の政府の問題であり、今から縛ることはできない」として、非核三原則の実質的な空洞化を認めたものでした。木原氏がこの答弁を引き継ぐと明言したことは、現政権が非核三原則を便宜的な政策としか考えていないことを露呈しています。
「被爆国の首相が核持ち込み容認って、被爆者の思いを踏みにじってる」
「国是を『予断は控える』とか、軽く扱いすぎでしょ」
「高市さんは非核三原則を『邪魔』って言ってたし、最初から狙いは明確」
「岡田の答弁を引き継ぐって、民主党政権の負の遺産まで継承するのか」
「被爆地広島・長崎の声をもっと政府は聞くべきだ」
高市総理の「非核三原則は邪魔」発言の衝撃
この問題の深刻さを示すのが、高市総理の過去の発言です。2024年9月に出版された編著「国力研究」(産経新聞出版)で、高市氏は非核三原則を「邪魔」として安保3文書からの削除を要請していたことを自ら明らかにしていました。
高市氏は同書で「守るのは、国民の命か、非核三原則か」という究極の事態において、「持ち込ませず」が「邪魔になることを懸念」して削除を要請したと記述しています。当時経済安全保障担当相だった高市氏の要望は実現しませんでしたが、総理就任後の政策転換が現実味を帯びています。
現行の安保3文書には「平和国家として非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」と明記されていますが、2026年末までの改定で削除される危険性が高まっています。高市氏は2024年の総裁選でも非核三原則の「持ち込ませず」について「議論しなければならない」と述べており、一貫して見直しを主張してきました。
1960年密約から続く虚構の実態
非核三原則をめぐる問題の根深さは、1960年の日米安全保障条約改定時に遡ります。外務省の有識者委員会が2010年に公表した報告書では、核兵器搭載米軍艦船の日本寄港を事実上認める「暗黙の合意」があったことが確認されています。
この密約により、非核三原則のうち「持ち込ませず」は形骸化していましたが、政府は一貫してその存在を否定してきました。2010年の岡田外相による密約認定と核持ち込み容認答弁は、この虚構を追認したものです。
岡田氏は当時「これほど長期にわたり国会、国民に明らかになってこなかったのは極めて遺憾だ」と述べながらも、実質的には米国の解釈を受け入れる姿勢を示しました。この時点で、非核三原則は政治的スローガンに過ぎない存在となっていたのです。
スパイ防止法制定の必要性が浮き彫り
今回の問題は、日本の安全保障体制の根本的な欠陥を露呈しています。米軍による核持ち込みの実態が60年以上にわたって隠蔽されてきたことは、情報管理と秘密保護の仕組みが機能していないことを示しています。
スパイ防止法の早期制定が急務です。現在の特定秘密保護法では不十分であり、外国による情報収集活動や政府内部からの機密漏洩を防ぐ包括的な法制度が必要です。核政策のような国家の根幹に関わる情報が適切に管理されていない現状は、国家安全保障上の重大な欠陥です。
また、今回の木原発言は、政府が重要政策について国民に対して曖昧な説明を続けていることも示しています。非核三原則の見直しを検討しているなら、堂々と国民に説明し、議論を求めるべきです。「予断を控える」という逃げの姿勢は、民主的プロセスを軽視するものです。
被爆国としての責任と現実的安全保障の両立
唯一の戦争被爆国として、日本は核兵器廃絶に向けた道筋を示す責任があります。しかし同時に、中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発という現実的脅威に対処する必要もあります。
重要なのは、この両立を図るための透明で民主的な議論です。政府が密室で政策転換を進めるのではなく、国民的議論を通じて新たな安全保障政策を構築すべきです。被爆者や平和団体の声を聞きつつ、現実的な安全保障ニーズも考慮した政策形成が求められます。
木原氏の発言は、政府が既定路線として非核三原則の実質的廃止を進めていることを示唆しています。このような重大な政策変更が、国民的議論を経ずに進められることは、民主主義の根幹を揺るがす問題です。
政府は非核三原則の今後について明確な方針を示し、国民に対する説明責任を果たすべきです。被爆国としての歴史的責任と現代の安全保障環境の変化を踏まえた、真摯で開かれた議論が不可欠です。