2025-10-22 コメント: 1件 ▼
閣僚給与削減で総理は月額115万円返納、身を切る改革の本質と議員定数削減の問題点
木原稔官房長官氏は22日の会見で、総理大臣は月額115万2000円、国務大臣は月額48万9000円の上乗せ給与を受け取らないと発表しました。 高市首相氏は会見で、身を切る改革として日本維新の会と議員定数削減にも合意していると述べました。 しかし議員定数削減には大きな問題点があります。
月額115万円の上乗せ給与を返納へ
木原官房長官氏は会見で、特別職給与法で上乗せされている給与額を明らかにしました。総理大臣の場合は月額115万2000円、国務大臣の場合は月額48万9000円です。これらは国会議員歳費に上乗せして支給される部分で、新内閣として議員歳費を超える閣僚給与を受け取らない方針を決定したと説明しました。
国会議員の歳費は月額129万4000円で、これに期末手当を加えると年間約2181万円になります。特別職給与法によると、内閣総理大臣の俸給月額は201万円、国務大臣は146万6000円と定められており、これに地域手当が加算されます。今回の削減は、議員歳費との差額部分を返納する形です。
高市首相氏は21日の記者会見で、国会議員歳費を超える給与を受け取らないよう法改正に取り組むと表明しました。現在の制度では自主的に返納すると寄付禁止の規定に抵触するため、法改正が必要になります。法改正が実現した場合の高市内閣全体の年間給与削減額については、現在検討中のため差し控えると木原官房長官氏は述べました。
「閣僚給与削減は評価するが、本当に必要なのは企業献金の規制だと思う」
「月額115万円も返納するなんて立派。でも議員定数削減とセットなのが気になる」
「身を切る改革というけれど、給与削減より政策の中身で勝負してほしい」
「減税が最優先なのに、閣僚給与の話で目くらましされている感じがする」
「議員の数を減らすと地方の声が届かなくなる。大阪中心の発想は危険だ」
維新との合意で議員定数削減も
高市首相氏は会見で、身を切る改革として日本維新の会と議員定数削減にも合意していると述べました。維新の吉村洋文代表氏は衆院議員の1割削減、約50議席の削減を主張しており、比例代表を中心に削減する方針です。
維新は身を切る改革を党是として掲げ、議員定数削減を連立入りの絶対条件としました。大阪府議会では約2割の議席を削減した実績があり、これを国政レベルでも実現しようとしています。しかし議員定数削減には大きな問題点があります。
比例代表の削減は小選挙区で勝てない小政党の議席を大幅に減らすことになります。公明党や日本共産党、参政党など比例代表中心の政党は生命線を失います。多様な民意を反映する議会制民主主義の根幹が揺らぐ懸念があります。
また人口の少ない地方の定数がさらに削られ、地方の声が国政に届きにくくなります。自民党の逢沢一郎氏は、定数削減は大阪や東京でなく地方の定数が少なくなると批判しています。議員が減ることで行政の専門的なチェック能力も低下します。
本質的な改革から目をそらす手法
議員定数削減による財政効果は実は大きくありません。大阪市議会で11議席を削減しても年間約2億1600万円の削減にすぎず、市全体の予算から見ればごく一部です。しかし維新はこれを政治家が自ら痛みを引き受けたとアピールし、有権者の支持を獲得してきました。
身を切る改革は財源確保よりも政治的資本の獲得が主な狙いです。単純明快で理解しやすいメッセージによって、既得権益と戦う改革者のイメージを確立し、選挙で勝利を重ねてきました。しかし本質的な問題はここにはありません。
議員定数削減という専門的な問題を道徳的な問いにすり替え、効果的な統治のために最適な議員数はという本質的な議論を回避しています。野党の一部からは、企業団体献金の規制強化から目をそらすための戦略ではないかという指摘も出ています。
国民民主党の玉木雄一郎代表氏は、政治とカネに厳しい公明党が自民党から離れ、政治とカネに甘い維新が自民党にくっつくと批判しました。企業団体献金の規制こそが政治とカネの問題を解決する本丸ですが、この議論が後回しにされています。
減税こそが真の国民支援
身を切る改革より優先すべきは減税です。参院選で示された民意は減税であり、物価高に苦しむ国民への直接的な支援が求められています。高市首相氏はガソリン税の旧暫定税率を速やかに廃止すると表明しましたが、より大胆な減税政策が必要です。
給付金は意味がなく、減税こそが国民の手取りを増やす最も効果的な方法です。閣僚給与の削減や議員定数削減で得られる財源は限定的であり、それよりも税負担の軽減に注力すべきです。数十年に渡る自民党の失策による物価高対策として、財政出動や減税は一刻の猶予も許されません。
議員定数削減を連立の条件とした維新の姿勢には、企業献金の規制強化という本丸から目をそらす意図があるとの批判があります。衆院政治改革特別委員会の委員長は立憲民主党出身で、自民維新の思うようには動きません。年内実現は極めて困難な状況です。
民主主義の根幹である議会の多様性を損なう定数削減よりも、国民生活に直結する減税と企業献金の規制強化こそが真の改革です。象徴的なパフォーマンスではなく、実質的な国益を追求する政治が求められています。