2025-05-09 コメント投稿する ▼
下請法改正で中小企業の賃上げを実現へ、村田享子議員が参院本会議で訴え
参院本会議
下請法改正案「すべての働く人の賃上げにつながる法律に」村田享子議員2025年5月9日、参議院本会議において、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」に対する趣旨説明質疑が行われ、立憲民主・社民・無所属の村田享子参院議員が会派を代表して質問に立った。
村田議員は、ものづくりの現場での挨拶「ご安全に」を引用し、日本のものづくりを支える中小企業とその労働者の重要性を強調。今回の改正案が中小企業の賃上げ原資確保に資するものであるとし、法案の趣旨に賛同する姿勢を示した。
中小企業の賃上げと価格転嫁の課題
村田議員は、2025年春季生活闘争(春闘)における賃上げ率が全体で5.32%、300人未満の中小組合で4.93%と高水準であることを紹介。しかし、大企業と中小企業の賃上げ格差が依然として存在し、価格転嫁の遅れが中小企業の賃上げを阻んでいると指摘した。経済産業大臣に対し、価格転嫁が進まない原因とその対策について見解を求めた。
下請法改正の実効性と協議の形骸化防止
今回の下請法改正は22年ぶりの大幅な改正であり、発注者と受注者の対等な関係に基づく「構造的な価格転嫁」の実現が目的とされている。村田議員は、「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止」の実効性を高めるため、協議の形骸化を防ぐ運用基準の明確化と、現場の実態を反映した基準策定の必要性を訴えた。
物流問題と運送委託の規制対象追加
改正案では、物流問題への対応として、下請法の規制対象に運送委託が追加された。これにより、発荷主と元請運送事業者との取引が下請法の対象となる。村田議員は、ガソリン価格の高騰が物流に与える影響を指摘し、政府のガソリン価格引き下げ策に対し、さらなる対策の必要性を提起した。
対象事業者の定義と従業員数基準の追加
下請法の対象事業者の定義において、従来の資本金額による基準に加え、従業員数による基準が追加される。村田議員は、資本金の増減による「下請法逃れ」への対応として評価しつつ、従業員数の変動性や調査の難しさが事業者の負担増につながる懸念を示し、経済産業大臣に対応策を求めた。
多段階取引の価格転嫁と地方の対応
下請中小企業振興法の改正では、多段階の事業者が連携した取組への支援が追加された。村田議員は、取引段階が深くなるほど価格転嫁の割合が低くなる現状を指摘し、商習慣の壁を越えた多段階事業者の連携方法について質問。また、労務費転嫁交渉指針の認知度が地方で低いことから、国と地方公共団体の連携強化と、地方版政労使会議の活用による周知徹底の必要性を訴えた。
グループ会社間・海外取引の価格転嫁問題
村田議員は、グループ会社内での取引や海外メーカーとの取引において、価格転嫁が進まない問題を取り上げた。子会社が「みなし大企業」とされ、中小企業支援の補助金が使えない問題や、海外との取引に下請法や独占禁止法が適用されない場合の対策について、経済産業大臣の見解を求めた。
施行期日と周知広報の重要性
改正法案の施行期日は、衆議院経済産業委員会での修正により、令和8年1月1日と明確に定められた。村田議員は、施行期日に向けて、公正取引委員会が改正法の適用基準や運用基準の準備、事業者への周知広報を迅速かつ効果的に行う必要性を強調した。
村田議員は、発注者と受注者が対等なパートナーとして、より良い商品・サービスを共に目指すことが、日本のさらなる活力と働きがいを生み出すと述べ、事業者の意識改革を含めた構造的な価格転嫁と持続的な賃上げへの対策を経済産業大臣に求めた。
「価格転嫁待ったなし!」中小企業、フリーランス、個人事業主をはじめとする、すべての働く人の賃上げにつながる法律となるよう、充実した審議が求められる。