2025-05-21 コメント投稿する ▼
教員不足と長時間労働の根本改善へ 斎藤嘉隆議員が教育政策の転換を提言【参院本会議】
教員不足の根源に迫る 斎藤議員が本会議で問題提起
5月21日の参院本会議で、元教員として17年の現場経験を持つ斎藤嘉隆議員(立憲民主・社民・無所属)が登壇し、教員の労働環境や教育政策の課題について熱を込めて訴えた。テーマは「教育職員給与特別措置法」の一部改正案に関する代表質問だが、その中身は単なる法案審議にとどまらず、日本の教育現場が抱える構造的な問題を鋭く突く内容となった。
斎藤氏はまず、教員不足が各地の学校で常態化している現実を挙げ、「これは自治体の責任ではなく、長年放置されてきた国の政策が生んだ結果だ」と厳しく批判した。現場では担任が不在のまま学期が始まり、年度後半にはさらに人手が足りなくなる懸念が広がっているという。
処遇改善は本当に前進か?
今回の法案には、教職調整額(教員の時間外勤務への一律手当)を2026年度から段階的に引き上げ、2031年度には現行の4%から10%にする計画が盛り込まれている。だが、斎藤氏は「昨年は13%を求めていたはずなのに、結果は妥協案だ」と落胆をにじませた。
そもそもこの4%という数値は、1960年代の勤務実態を基に設定されたもので、現代の過重労働とはまるでかけ離れている。斎藤氏は、調整額に頼った改善策では限界があるとして、「本来は“義務教育等教員特別手当”を拡充し、法の趣旨に沿った処遇改善を図るべきだ」と指摘した。
働き方改革と教員の多忙
さらに斎藤氏は、教員の過労問題に真正面から切り込んだ。近年、「働き方改革」が叫ばれてはいるが、業務の総量が減らなければ長時間労働はなくならない。「教育委員会に計画を作らせても、現場に余力はない。まずは国が本気で教員数を増やすことから始めるべき」と、現場目線での提案を続けた。
具体的には、担当授業の持ちコマ数削減、学習指導要領の見直し、定数増による正規教員の拡充が必要だと強調。また、「調査」と称して各地の教育委員会から情報を聞き取るだけでは、持ち帰り残業の実態は見えないとし、精密な勤務実態調査の実施を求めた。
少人数学級と部活動改革の課題
修正案では、公立中学校での35人学級実現に向けた法整備も進められるが、斎藤氏は「中学校では担任制ではなく教科担任制なので、学級数が増えると教員の負担が逆に増す」と懸念を示した。単なる学級編成の変更ではなく、それに伴う教員定数の拡充が不可欠だと訴えた。
一方、部活動の地域移行についても、「現場任せではうまくいかない」とし、施設の確保や報酬の財源確保に国の関与が必要だと主張。「教員が希望すれば、兼業として有償で指導に関わる選択肢も検討してはどうか」と、現実的な方策を提案した。
“万能な学校”への幻想に終止符を
議論の最後で斎藤氏は、教育現場に多くの社会課題の解決が押し付けられている現状に対し、「学校にできることには限りがある」と苦言を呈した。子どもたちの抱える問題は、家庭や地域社会の問題が根底にある場合も多く、「教育だけでどうにかしろというのは、現場に対する責任放棄だ」と訴えた。
「何かを求めるなら、何かを削る。あるいは、必要な支援をつける」——そんな当たり前の原則を無視した教育政策が続く限り、教員の疲弊も、子どもたちの学びの質の低下も止まらないという危機感が、斎藤氏の言葉から強く伝わってきた。
ネットユーザーの反応
「教員の長時間労働を見てきたから、こういう発言はありがたい」
「また“調整額”でごまかすのか。本質的な改革がない」
「部活動、現場の先生たちに全部押し付けるのやめて」
「斎藤議員みたいに現場出身の人の声、もっと大事にして」
「“教育は万能じゃない”って、ようやく言ってくれた感じ」