2025-04-07 コメント投稿する ▼
「毎年10兆円のズレは論外」財務省の税収見積もりに疑義 柳ケ瀬議員が“弾性値”操作を追及
ズレは毎年10兆円規模、「たまたまじゃ済まされない」
柳ケ瀬氏が問題視したのは、過去3年間における予算編成時の税収見積もりと実際の決算額との差だ。
2022年度は11.7兆円、2023年度は10.7兆円、そして2024年度も最終的に9.9兆円程度の開きが出る見込みだという。
「税収が実際に多かったからいいじゃないか、では済まない。これでは“税収が足りない”という前提で増税や国債発行を正当化することになる」と柳ケ瀬氏。税収を過少に見積もることで、減税の議論すら封じ込められてしまうと訴えた。
問題の根っこは「税収弾性値」
税収見積もりの基準となっている「税収弾性値」が恣意的に低く設定されているのではないか、というのが柳ケ瀬氏の主張だ。
税収弾性値とは、名目GDPが1%成長した際に税収が何%増えるかを示す係数。財務省はこれを「1.1」と設定してきたが、柳ケ瀬氏は「実際には2.8が妥当だった」と述べ、見積もりの根本的な前提が間違っていると指摘した。
“都合の良い計算”の疑いも
さらに柳ケ瀬氏は、財務省が税収弾性値を過去10年平均から、より古い昭和51年度以降の44年平均に切り替えていることを問題視。「かつては『過去10年の平均で1.1』と言っていたのに、今は『44年平均で1.1』にすり替えた。これは“つじつま合わせ”ではないか」と追及した。
実際、直近の10年で試算すると、税収弾性値は「3.23」に跳ね上がる。つまり、現実の税収はもっと伸びるはずだということだ。
柳ケ瀬氏は、昭和51年度から令和5年度までの全1176通りの組み合わせで税収弾性値を試算。「単純平均は3だった」と述べ、財務省が長年“1.1ありき”で数値を設定してきたのではないかと疑念を呈した。
財務省の見解と今後の行方
これに対し、財務省の青木主税局長は「短期間では弾性値が極端になる場合もあり、長期間をとることで安定した予測ができる」と反論。計算方法の変更は合理的な判断であったと説明した。
一方、加藤金融担当大臣は「取り方についての問題提起はあり得る。見直しや精度の改善に向けて不断の努力を続けたい」と述べ、一定の理解を示した。
見直しは不可避か 財政の前提揺るがす試算
柳ケ瀬氏は最後に「試算が完全に当たる必要はないが、毎年10兆円もズレるのは明らかに問題だ。税収弾性値を使った今の方法は見直すべきだ」と語った。
欧米では、複数の経済指標を使ったシミュレーションモデルで税収予測を行うのが一般的だ。柳ケ瀬氏は、日本も同様に多変数を取り込んだ予測モデルを構築し、公正で中立な議論を進めるべきだと提案した。
財務省による税収見積もりの“からくり”が、こうして国会の場で白日の下にさらされた。今後、見積もりの精度と透明性をどう高めるのか。政府の対応が注目される。