2025-12-10 コメント投稿する ▼
長崎県産みかん初のベトナム輸出、国際競争力強化で農家所得向上目指す
長崎県は、長崎県産みかんが初めてベトナムに輸出されることを発表しました。 これは長崎県産みかんの海外展開における重要な一歩となります。 日本産温州みかんのベトナム向け輸出は2021年10月から解禁されており、長崎県も満を持して参入することになります。 しかし、ベトナム市場での日本産みかんの価格は他国産果物と比較して高く、プロモーション活動や品質訴求が重要となります。
歴史的な初回選果が12月12日に実施
長崎県は、長崎県産みかんが初めてベトナムに輸出されることを発表しました。2025年12月12日に長崎県央農業協同組合中部集出荷施設において、ベトナム向けみかんの初回選果が実施されます。これは長崎県産みかんの海外展開における重要な一歩となります。
長崎県では、国の「大規模輸出産地モデル形成等支援事業」を活用し、産地である全農長崎県本部やJAながさき県央などと連携して輸出拡大に向けた産地づくりを推進してきました。ベトナム向け輸出に向けて、輸出規制への対応として生産園地・選果こん包施設の登録、みかん果実生育期における検疫対象病害虫の発生有無の調査、ベトナム植物防疫機関の検査官による現地査察対応などを実施していました。
「長崎のみかんがついにベトナムに輸出されるなんて、地元の農家として誇らしい」
「ベトナムでの販売が成功すれば、長崎農業の未来も明るくなりそう」
「輸出用のみかん選果、品質管理がしっかりしていて安心できる」
「海外展開で長崎ブランドの価値が上がることを期待している」
「農家の収入安定につながる取り組みとして評価したい」
2026年1月にハノイでプロモーション活動
2026年1月16日から18日にかけて、ベトナムの首都ハノイで「長崎県産みかんフェア」を開催予定です。ハノイ市内の小売店1店舗で長崎県産みかん特設コーナーを設置し、現地販売促進員による試食販売を実施します。これにより、ベトナム消費者に直接長崎県産みかんの品質と美味しさをアピールする狙いです。
ベトナムでは日本産果物への関心が高まっており、特に安全性と高品質を重視する中間層・富裕層を中心に需要が拡大しています。日本産温州みかんのベトナム向け輸出は2021年10月から解禁されており、長崎県も満を持して参入することになります。
競合激化の中で長崎ブランドの差別化が課題
ベトナム市場では既に愛媛県や和歌山県などの主要みかん産地が参入しており、競争が激化しています。長崎県は全国第5位のみかん生産量を誇り、特に「味ホープ」や「出島の華」などの高糖度ブランドみかんで差別化を図っています。シートマルチ栽培による糖度向上技術も長崎みかんの強みです。
しかし、ベトナム市場での日本産みかんの価格は他国産果物と比較して高く、プロモーション活動や品質訴求が重要となります。ジェトロの調査によると、ベトナムの輸入果物店では日本産果物の価格が他国産より高いとの指摘があり、価格競争力の確保が課題です。
産地モデル事業の成果検証が不可欠
長崎県が活用している「大規模輸出産地モデル形成等支援事業」は、国費を投入した重要な政策事業です。しかし、具体的な輸出目標数量や売上目標、事業期間における成果指標が明確に示されていない点は問題です。
海外への資金援助や産業支援には明確なKPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)の設定が不可欠であり、何年でどれだけの輸出量を達成し、どの程度の農家所得向上を実現するのかといった数値目標と期限を明示すべきです。税金を使った支援事業である以上、定期的な進捗報告と成果検証のメカニズムが求められます。
ベトナム市場の特性と戦略的アプローチ
ベトナムは人口約9800万人を擁し、経済成長に伴って中間層が拡大している有望市場です。果物消費量は2018年から2022年にかけて約2.6倍に増加し、特に都市部では健康意識の高まりとともにオーガニックや高品質な輸入果物への需要が高まっています。
テト(旧正月)などの贈答需要も見込まれ、日本産果物は「甘い」「鮮度が良い」「安心安全」といったイメージで評価されています。長崎県産みかんも、これらの強みを生かしたマーケティング戦略が成功の鍵を握ります。
今回の初回輸出は、長崎県農業の国際競争力向上と農家所得向上を目指す重要な取り組みです。事業の透明性を確保し、着実な成果創出を通じて、持続可能な輸出産地モデルの構築が期待されます。