2025-09-04 コメント投稿する ▼
堺市、参政党集会に施設貸し出し「条例違反なし」 共産党支持者抗議も公平性を貫く決定
参政党集会に施設貸し出し 共産党支持者ら抗議も堺市「条例違反なし」
堺市東区の公共施設で8月31日に行われた参政党の集会をめぐり、会場に共産党支持者らが駆けつけ「参政党は差別政党だ」として市側に貸し出し理由の説明を求めたことが分かった。これに対し堺市文化課は「条例に反する事由はなく、断る理由はないと判断した」と明言し、使用許可の正当性を強調した。施設の利用可否が市の中立性や表現の自由に関わる問題として浮上した格好だ。
条例に基づく貸し出し基準
堺市立文化会館条例では、使用を認めない条件を明確に定めている。具体的には、公序良俗を害するおそれがある場合や建物や設備の損壊が懸念される場合、暴力団の利益につながる場合、その他市長が管理上不適当と判断する場合に限られる。市文化課によれば、今回の参政党の集会はいずれの項目にも該当せず、申請に基づき使用を認めたという。市は「政治的立場にかかわらず、公平な運用を徹底している」としている。
集会のテーマは「参政党ってどんな党?」で、参加費無料・定員30人。約2時間のワークショップと1時間の懇親会が予定され、募集サイトには「堺市」とだけ記され、危機管理上の理由から詳細は申し込み者にのみ通知する形が取られていた。これは政治団体のイベントに対する妨害や抗議を避ける意図もあったとみられる。
抗議活動と市民の反応
当日、会場には数人の抗議者が訪れ、市職員に「参政党に貸すな」と声を荒らげる場面があった。さらに集会参加者に対しても抗議を行い、現場は一時緊張感に包まれた。市側は混乱を最小限に抑えつつ、予定通り集会を実施させた。
ネット上では賛否が割れている。
「公共施設は誰にでも開かれているべき。抗議は自由だが貸し出し拒否を求めるのは越権だ」
「市の判断は妥当。条例に従っただけ」
「参政党に批判があるなら選挙で意思表示すればいい」
「共産党支持者の行動は言論封殺に映る」
「政治的に偏った抗議が続けば、市民の自由な利用が脅かされる」
こうした意見に見られるように、市の対応は一定の理解を得る一方、政治対立が公共空間に持ち込まれたことへの懸念も広がっている。さらに「自分たちの主張や正義と異なる意見だからといって妨害する共産党支持者こそが差別的ではないか」という批判も浮上しており、自由な討論の場を狭める行為そのものが民主主義の根幹を揺るがすとの指摘もある。
公共施設利用をめぐる公平性と課題
地方自治体にとって、公共施設の貸し出しは政治的中立性と住民の表現の自由の両立が不可欠となる。今回、堺市は条例に基づき「断る理由なし」と判断したが、今後も特定政党や団体の利用をめぐって抗議が発生する可能性は否定できない。施設の安全確保や参加者の安心感を高めるための運営ルールの工夫が求められる。
参政党は新興政党として活動を広げる一方、理念や主張に批判がつきまとう。共産党支持者らの抗議は、その存在感が増していることの裏返しとも言える。しかし、異なる主張を持つ政党の集会を妨害することは、市民の自由な言論空間を制約し、かえって差別的な行為と映りかねない。民主主義社会においては、多様な意見が並び立ち、正々堂々と論争することでこそ成熟が進むはずだ。
堺市の決定支持と表現の自由の行方
今回の事例は、特定の政治勢力に対する賛否が公共施設利用の是非に影響してはならないことを浮き彫りにした。市が「条例違反なし」として貸し出しを認めた判断は、法治と中立性を優先したものだ。抗議に屈せず公平性を貫いた堺市の対応は、表現の自由を守る上で高く評価できる。今後も行政が一貫して公平な立場を維持できるかどうかは、民主主義の成熟度を測る試金石となるだろう。