2025-10-30 コメント投稿する ▼
岩手県の婚活冊子、「女性は可憐に」批判でHP削除 ジェンダーステレオタイプ指摘
岩手県が婚活支援の一環として発行した冊子に書かれた内容に対し、SNS上で「女性差別」「岩手から若い女性が逃げ出す」「税金を使うことか」などと批判が殺到し、県は10月28日、ホームページでの公開を取りやめた。 2019年の発行から6年後、SNS上での批判で初めて問題視されるという異例の事態となりました。
公金で作られた「性別役割の固定化」
岩手県が婚活支援の一環として発行した冊子に書かれた内容に対し、SNS上で「女性差別」「岩手から若い女性が逃げ出す」「税金を使うことか」などと批判が殺到し、県は10月28日、ホームページでの公開を取りやめた。問題の冊子は「いわてでステキな出会い『叶(かな)えるBOOK』~婚活スキルアップしたいあなたへ」で、県が2019年に発行し、県内の印刷会社に冊子の作成を委託し、宮城県の婚活支援業者が執筆を担当した。2019年の発行から6年後、SNS上での批判で初めて問題視されるという異例の事態となりました。
女性のファッションについては「ポイントは『パンプス』『スカートかワンピース』という2点を押さえる」「首・手首・足首の『くび』と呼ばれる部分が出て、可憐な雰囲気に」などと細かく助言し、髪形は「『清潔感』や『美しさ』、『品の良さ』を意識するのがポイント」として、ツヤを保ち、パサつきや傷みのケアも奨励している。一方で、男性のファッションは「清潔感を大切に」「自分に似合う服で、体形に合ったサイズを選ぶ」などにとどまり、髪形は「理美容室に通い、清潔感を保つように」とするだけ。男女間の記述の格差は極めて大きいものです。
男性版が「清潔感を保つ」「体型に合った服を選ぶ」など比較的柔軟なアドバイスに留まる一方、女性版は外見・内面ともに厳格な「べき論」で構成されていた。これが公金で作られた公的文書であることが、批判をさらに強める要因となっています。
「公金使った冊子で『女性は可憐に』とか言われるの、本当に悔しい。なぜこんなことを行政がやるのか」
「岩手で婚活したくないって思ってしまった。地域ぐるみで古い価値観を強要されてる感覚がある」
「男性版はここまで細かく指導していないのに、女性だけ『こうあるべき』って書かれてるのが本当に気になる」
「性別による役割分担の固定化って、自治体が推進するはずのジェンダー平等と矛盾してないですか」
「『御しやすそう』な女性像を作れということか。少子化対策のはずが、むしろ女性を追い詰めてる」
学識者の指摘で拡散、SNS炎上に発展
日本と米国でジェンダー問題を研究してきた立命館大学の山口智美教授(文化人類学)は10月27日夜、X(旧ツイッター)に「なかなかひどい内容」と投稿し、「思い切り『性別による役割分担の固定化』をしているのでは」と批判した。投稿は瞬く間に拡散され、示回数は10月29日夕方時点で約560万回に上った。大学教授という信頼度の高い情報発信者による批判が、火に油を注ぐ形となりました。
公的機関が少子化対策として発信するはずの冊子が、逆に「婚活のハードルを上げ、女性を追い詰める」との声が広がり、「岩手で婚活したくなくなった」という嘆きまで飛び交う事態になった。本来であれば結婚を促進するはずの資料が、地域から女性を遠ざける逆効果をもたらしています。
県の釈明は「多様な価値観への寄り添い」
岩手県はSNS上での批判を受けて迅速にHP削除対応を行いました。担当者は「多様な価値観に寄り添った支援に努めたい」とコメントしていますが、県の声明は問題の根源(ジェンダーバイアスなど)を認めず「不快感を与えてしまう表現がある」という抽象的な言葉に留まっており、「いつもどおりの」矮小化された対応であると批判されている。
冊子配布は既に終了しており、今後の改訂版作成方針についても県からは明確な発表がありません。しかし、婚活支援という名目で特定の女性像を押しつけることは、岩手県自身が推進すべき「男女共同参画」の理念と直面する矛盾を露呈させています。