2025-08-26 コメント投稿する ▼
全国知事会新会長に長野県・阿部守一氏 地方分散と多文化共生を強調
全国知事会、新会長に長野県の阿部守一氏
全国知事会は26日、東京都内で会議を開き、長野県の阿部守一知事を新会長に選出した。宮城県の村井嘉浩知事の任期満了に伴う選挙で、阿部氏以外に立候補がなく、無投票での就任が決まった。任期は9月3日から2年間。阿部氏は所信表明で「現場に軸足を置いた知事会が結束し、日本の変革をリードしていきたい」と述べ、地方の声を政策に反映させる決意を示した。
地方分散と災害リスクへの問題意識
阿部氏は会議後の記者会見で、人口の過度な一極集中について言及。「首都圏に人が集まりすぎれば、災害時のリスクは飛躍的に高まる」と警鐘を鳴らし、調和の取れた国土づくりを国とともに議論していく考えを強調した。地方創生の重要性が唱えられて久しいが、人口減少や地域経済の疲弊は深刻さを増しており、全国知事会としても具体的な提言が求められる。
外国人政策と多文化共生
阿部氏は外国人政策についても言及し、「排外主義的な立場は取らない」とした上で、多文化共生に向けた国の支援強化を要請した。外国人労働者や留学生の受け入れが進む一方で、地域社会との摩擦や不安も根強い。阿部氏は「地方の現場で起きている課題を国にしっかり届けたい」と述べ、知事会としてバランスの取れた提言をしていく方針を示した。
SNSでもさまざまな反応が出ている。
「地方の現場感覚を持った会長に期待」
「外国人政策は多文化共生よりも秩序の維持を優先してほしい」
「一極集中のリスクを正面から言う知事は貴重」
「合区の問題に触れたのは評価できる」
「地方切り捨てを止めるために行動してほしい」
政治参加拡大と「合区」への懸念
また、阿部氏は被選挙権年齢の引き下げを議論し、国に提案する考えを表明。若者の政治参加を促し、世代間のバランスを取る意図がある。さらに、参院選における隣接県の「合区」拡大について「人口減少が進む中で地方の声が届きにくくなる」と懸念を表明した。特に地方の議席減少は国政における地域の発言力を弱め、中央集権化をさらに進める要因となるだけに、知事会としての問題提起は重みを持つ。
阿部守一氏の経歴と今後の知事会の役割
阿部氏は総務省出身で、長野県副知事などを経て2010年に県知事に初当選。現在は4期目を務めている。行政経験と地方現場の両方を知るバランス感覚を武器に、新たな知事会を率いることになる。
全国知事会はこれまでも医療制度や地方財政の問題で国に対し発言力を強めてきた。今後は人口減少、安全保障、エネルギー政策など幅広い分野で地方の立場をどう発信していくかが課題となる。阿部新会長のもと、地方の声を国政に届ける調整力が試されることになるだろう。