2025-07-11 コメント: 1件 ▼
参院選・和歌山 二階元幹事長の息子がパンダ誘致を訴えも、有権者は冷めた反応
参院選 和歌山で注目の自民・二階氏の息子「パンダ誘致」で支持訴え 苦戦の選挙戦に漂う焦燥
「パンダ再び和歌山に」──選挙戦の目玉政策?
自民党候補の苦戦が全国的に報じられる中、和歌山選挙区でも異例の接戦が続いている。今回、自民党が擁立したのは、かつて「政界のドン」とも呼ばれた二階俊博元幹事長の三男、二階伸康氏(47)。だが、注目されたのは経済や外交政策ではなく、候補者本人が強く打ち出した「中国から再びパンダを和歌山へ」という訴えだった。
パンダ誘致はかつて父・二階俊博氏が地方創生の象徴として掲げていた政策でもあるが、今回それを受け継ぐ形で息子が表舞台で掲げた。だが、有権者の受け止め方は決して一枚岩ではない。
「パンダって…。もっと他に訴えることがあるだろ」
「生活苦しいのに、パンダ呼ぶとか現実見てない」
「和歌山は観光より先に雇用と若者の流出を止めないと」
「また中国頼みかよ。外交的にも微妙」
「親の威光とパンダで勝てる時代は終わってる」
SNSでもこの政策は皮肉や疑問の声にさらされており、若い世代や無党派層からの共感を得るのは難しい情勢だ。
「紀州戦争」再び 二階派の存亡かかる選挙
今回の選挙は、かつて自民党内で激しい対立を繰り広げた「二階VS世耕」の因縁の再燃ともいえる。2022年に世耕弘成氏率いるグループが二階氏の影響力を抑え込もうとしたのに対し、今回は二階派が三男を前面に立てて反撃を試みている形だ。
和歌山では長らく二階氏の地盤が強固とされてきたが、高齢と不出馬、さらに近年の派閥縮小を背景に、かつての影響力は大きく後退。今回の選挙では伸康氏の知名度不足に加え、「親の七光りでは」との声も多く、支持固めに苦戦している。
また、保守層の中からも「中国寄りの姿勢を改めないと票は伸びない」との声が上がっており、パンダ政策も「中国への配慮」として逆効果になるリスクがある。
有権者の関心は「生活」と「安全保障」
現在、和歌山を含む地方都市が抱えるのは、少子高齢化と人口流出、地場産業の衰退、観光依存からの脱却といった深刻な課題である。また、安全保障や外交問題に対しても、有権者はかつて以上に敏感になっている。
そんな中で、「再びパンダを呼ぶ」といった平和的で感情に訴える政策は、かえって「現実逃避」に映る。有権者の多くが求めているのは、持続可能な雇用政策、若者支援、国防に対する明確なスタンスであり、パンダ誘致のようなイメージ先行型の提案ではない。
さらに、政府が中国に対して一貫した強硬姿勢を取れずにいる中で、「中国との友好の象徴」としてのパンダ誘致が持つ政治的な意味も重くなっている。世論の中には「中国に迎合してパンダをもらうような外交では、国益が損なわれる」との声もあり、こうした空気を読み違えれば逆風となる。
本気の政治姿勢が問われる時代に
和歌山選挙区では、維新をはじめとする野党も勢いを増しており、既存政党の「後継者候補」や「親の地盤を引き継ぐ候補」への風当たりは一段と厳しくなっている。無党派層は特に「実力のある人」「しがらみのない候補」を求めており、パンダ政策だけではこの層を動かすことは難しいだろう。
また、外交と内政を切り離せない今の時代において、中国との関係をどう考えるかは、もはや「動物外交」では済まされない。本当に和歌山の未来を託せる候補は誰なのか。表面的な親しみや話題性ではなく、「骨のある政策」と「国家観」が問われている。