2025-11-07 コメント投稿する ▼
警察官がライフル銃でクマ駆除 秋田で実戦訓練開始 過去最多被害に緊急対応
クマによる被害が相次いでいることを受け、警察庁は11月6日、警察官がライフル銃を使ってクマを駆除できるよう、国家公安委員会規則を改正しました。 環境省によると、2025年度のクマによる死者数は10月30日時点で12人となり、過去最多を記録しています。
クマによる被害が相次いでいることを受け、警察庁は11月6日、警察官がライフル銃を使ってクマを駆除できるよう、国家公安委員会規則を改正しました。規則は11月13日に施行されます。この歴史的な制度変更に先立ち、秋田県警は11月7日、北秋田署でクマの生態や駆除手順を学ぶ実戦的な講習を実施しました。
秋田県警の警察官と警察庁が県外から派遣した警察官の計32人が受講し、専門部隊には各地の警察からも警察官を派遣します。この新たな取り組みは、過去最多となるクマ被害への緊急対応として実施されるものです。
猟友会からの実践的指導
講習では、秋田県猟友会の田中文隆副会長氏が講師を務めました。田中氏は「クマの歯はドングリなどをすりつぶせるよう変形している」「近年は渋柿だけでなくトマトも食うようになった」など、クマの生態や食性について詳細に説明しました。
参加した警察官たちは非常に熱心で、「親グマと子グマで狙うところが違うのか」「発砲後にクマは射手に向かってくるのか、逃げるのか」といった実戦的な質問を次々と投げかけました。
「こんなに危険な任務をこなしてくれる警察官には本当に頭が下がる」
「猟友会だけでは限界があったから警察が対応してくれるのは心強い」
「しっかり訓練を積んでから現場に出てもらいたい」
「警察官の安全も心配だけど、住民を守ってくれることに期待している」
「ライフル銃の扱いは慎重にお願いします」
田中副会長は「中途半端な形で発砲して万一の事態にならないよう、心構えが必要」と強調し、安全確保の重要性を訴えました。
過去最多のクマ被害への緊急対応
環境省によると、2025年度のクマによる死者数は10月30日時点で12人となり、過去最多を記録しています。人身被害者数は4月から9月で108人に達し、過去最多を記録した2023年度における4月から9月の109人と同水準となっています。
この深刻な状況を受け、警察庁は機動隊が所持するライフル銃の使用を想定しており、機動隊でもライフル銃の訓練をしているのは銃器対策部隊など一部の人員に限られるため、専門的な訓練が不可欠となっています。
秋田県警警備課の中川俊昭次長(56歳)は「クマによる危険が迫った場合は、警察官職務執行法で猟友会員らに発砲を命じている。新たな運用で警察官自身もライフル銃を発砲するようになるので、銃弾の跳ね返りを防ぐなど周辺の安全確保を第一にしながら、いろいろな場面を想定して教養や訓練を重ねていく」と決意を語りました。
深刻な猟友会の人手不足
今回の警察による対応強化の背景には、猟友会の担い手の高齢化が進み、全国のハンター数はピーク時の4分の1以下にまで減少しているという現実があります。一般社団法人 大日本猟友会によれば、会員の約6割が60歳以上という状況で、駆除の空白地帯が各地で生まれつつあり、住民の安全確保が難しくなる深刻な状況となっています。
岩手、秋田両県には地元警察官と派遣警察官の計4人によるチームを2組ずつ配置し、チームの内訳は指揮官と自治体への連絡担当が各1人で、スナイパーが2人という体制で臨みます。
中川次長は「チームの拠点をどこにするかなどは検討中で、11日には実際に緊急銃猟が行われた横手市の同じ河川敷で市担当者から説明を受ける研修も行う」と具体的な準備状況を説明しています。
駆除対象は市街地に出没したクマに限り、ハンターによる緊急銃猟などが行えない場合に警察官職務執行法に基づき対応することを想定しており、既存の猟友会による対応を補完する役割を果たします。