2025-05-28 コメント投稿する ▼
学術会議解体法案に井上議員が反論「学問の自由を守れ」—政府の介入姿勢に厳しい批判
参院本会議で学術会議法案に批判 井上議員「政府による介入は学問の自由を脅かす」
日本学術会議を政府から切り離された新たな法人に移行させる法案が、5月28日の参院本会議で審議入りした。これに対し、日本共産党の井上哲士議員は、政府の姿勢を強く批判し、「学術の独立性と自由が揺らいでいる」と警鐘を鳴らした。
任命拒否問題の核心は「法解釈の変更」
井上議員は、2020年に6名の学術会議推薦者が任命を拒否された件を取り上げた。この問題では、従来「形式的任命」とされてきた法解釈を、政府が一方的に変更したことが本質的な問題だと指摘した。内閣法制局と学術会議事務局の間で交わされた文書には、その解釈変更の過程が記されているが、黒塗りされたままで国会提出されており、透明性に疑問が残る。
東京地裁はその文書の開示を命じたが、政府は控訴している。井上氏は「控訴を直ちに取り下げるべきで、そうでなければ政府に法案提出の資格はない」と断じた。
学術会議の独立性に対する懸念
井上議員は、現行法の前文にある「科学者の総意に基づく設立」という表現が削除されることにも言及し、これは学術会議の理念や役割を根底から覆すものだと批判した。
また、2017年に同会議が防衛装備庁の研究委託制度に慎重な対応を求めた声明を発表して以降、政府の介入姿勢が強まっているとも主張。現政権は、学問を安全保障や経済の手段に転換しようとしており、その象徴が今回の法案だと述べた。
「選定助言委員会」は学術界の常識と矛盾
さらに井上氏は、今回の法案に盛り込まれた「選定助言委員会」の存在に懸念を示した。これは、現会員が次期会員を選ぶ「コ・オプテーション方式」とは異なり、学術の自律性を損なう恐れがあるという。
井上氏は「学問の自由は、科学者集団が自律的に運営されてこそ成り立つ」と強調し、法案の撤回を訴えた。
市民・学術界からも抗議の声
法案の審議入りに合わせて、全国の研究者や市民団体が抗議の声を上げている。国会前では「学術を権力の道具にするな」と書かれた横断幕が掲げられ、学問の自由を守れという声が広がっている。
SNSでも広がる批判
「法案の本質は“学問の国営化”。日本のアカデミズムにとって致命的だ」
「形式的任命を曲げてまで任命拒否する政府に、今の法案を審議する資格はない」
「『科学者の総意』の文言を削る時点で、学問の独立性を放棄している」
「国際社会での信頼を一気に失うことになる。日本の科学はどうなる?」
「選定助言委員会って誰が選ぶの? 結局は政府の意向じゃないのか」
今回の学術会議法案をめぐっては、学問の独立性、政府の過度な関与、そして国際的な信用の問題が複雑に絡み合っている。審議は今後さらに本格化するが、法案の是非は「学問の自由」という憲法上の原則に立ち返って議論される必要がある。