2025-04-15 コメント投稿する ▼
女性トイレの行列をなくせ|国会で男女比3対1の見直し求める声、避難所基準を日常にも反映へ
女性トイレの行列、なぜ解消されない? 国会で男女比見直しを提起
長年指摘されてきた「女性トイレの行列問題」について、国会でも改善を求める声が上がった。
4月15日の参議院内閣委員会で、日本共産党の井上哲士議員が、女性用トイレに長い列ができる現状に触れ、「待ち時間の平等が求められる」として、政府に対しトイレの男女比に関する明確な基準を示し、全国の自治体に広げるよう提案した。
政府も改善の必要性を認識
この問題に対し、三原じゅん子・男女共同参画担当相は、「女性は男性よりも利用時間が長くなる傾向がある。そうした実態を反映し、男女で待ち時間に差が出ないよう、自治体に働きかけていく」と答弁した。
すでに政府は、2024年12月に能登半島地震を受けて見直した避難所の運営指針の中で、国際的な人道支援の目安である「スフィア基準」を取り入れ、避難所では女性用と男性用のトイレの比率を「3:1」とすることを盛り込んでいる。
「災害時だけではなく、日常でも必要な配慮」
内閣府の河合宏一官房審議官も、「スフィア基準は被災者が尊厳を保って生活できるようにするためのもの」と述べ、避難所での基準に準拠する形で、平時の施設設計にも反映していく必要性をにじませた。
井上議員は「災害時に必要な配慮が、日常生活ではなおざりにされているのではないか」と問題提起。公共施設の新設や改修、イベント開催時など、トイレ設置の見直しを進めるよう、国として積極的に取り組むべきだと訴えた。
国内外で進む「トイレのジェンダー平等」
実はこの問題、日本だけの課題ではない。たとえばイギリスでは、公共施設で女性用トイレを男性用の倍に増やすべきだという提言が専門家から出されており、女性の利用時間の長さに配慮したトイレ設計が進んでいる。
日本でも、労働安全衛生法に基づく基準で、女性用トイレの個室数は一定数ごとに設けることが求められているが、公共施設やイベント会場では依然として不足が指摘されている。
多様性に配慮したトイレ設計へ
近年では、トランスジェンダーやノンバイナリーなど、さまざまな性自認の人が安心して使える「オールジェンダートイレ」の導入も一部で始まっている。個室のプライバシー性や安心感の確保も含め、トイレ設計は今や「インフラの質」を問う象徴となっている。
井上議員の指摘は、「トイレの行列問題」という一見身近な話題を通じて、ジェンダー平等や多様性の尊重をどう社会に根付かせるかという本質的な課題を浮き彫りにしたと言える。
- 女性トイレの行列問題が国会で取り上げられた
- 政府は避難所のスフィア基準に基づき「3:1」の男女比を指針化
- 公共施設やイベントでのトイレ設置改善が求められている
- ジェンダー平等や多様性への配慮として、トイレ設計の見直しが重要