2025-03-19 コメント投稿する ▼
「原発最大限活用」は新たな安全神話か 井上議員が政府を追及
第7次エネルギー基本計画と原発政策の転換
政府は第7次エネルギー基本計画において、従来の「可能な限り依存度を低減する」という方針を削除し、「最大限活用する」という表現に改めた。
井上議員は、この変更が福島第1原発事故への反省を欠き、新たな安全神話を生む可能性があると指摘した。これに対し、石破茂首相は「最大限安全を確保した原発の稼働は行っていく」と答弁した。
地震リスクと原発の安全性
井上議員は、日本が地震多発国であることを強調し、安全な原発立地は存在しないと主張した。能登半島地震では、活断層の連動が北陸電力の志賀原発(石川県志賀町)の再稼働申請の想定を超える150キロメートルに及んだと指摘した。さらに、地震調査委員会の調査結果によれば、近畿から北陸にかけての沿岸・沖合でマグニチュード7以上の地震を引き起こす恐れがある活断層が25カ所以上存在し、そのうち3カ所は新たに活断層と評価されたと述べた。これらの事実から、「最大限活用などあり得ない」と強調した。
複合災害時の避難計画の実効性
能登半島地震により、原発事故と地震などの複合災害時に避難計画が破綻する可能性が浮き彫りになった。政府は原発から半径5~30キロメートル圏の避難準備区域(UPZ)の住民には自宅退避を原則としているが、原子力規制委員長は、志賀原発で事故が起きていた場合、「屋内退避できる状況ではなかった」と述べている。また、原発周辺自治体からは「避難は現実的ではなかった」(石川県穴水町)、「地理的要因で対策が困難」(愛媛県伊方町)などの声が上がっており、井上議員は「実効性ある避難計画も立地自治体・周辺住民の合意もない原発再稼働はあり得ない」と主張した。
経団連の政策評価と企業献金の影響
経団連は政党の政策評価、いわゆる“政党通信簿”と企業献金のあっせん再開により、露骨な政策買収に乗り出していると指摘されている。経団連は一貫して原発推進を求めており、2023年度の自民党評価の提言部分に「原発の最大限活用」が書き込まれ、2024年度末に第7次エネルギー基本計画に盛り込まれた。さらに、日本原子力産業協会の会員企業から自民党への献金は11年間で76億円に上り、「国民の声に反する原発推進へとかじを切った。企業献金が政治をゆがめているのは明らかだ」と井上議員は指摘し、企業・団体献金の禁止を強く求めた。
これらの指摘に対し、石破首相は「最大限安全を確保した原発の稼働は行っていく」と答弁したが、具体的な安全対策や避難計画の実効性についての詳細な説明はなかった。また、企業・団体献金の禁止についても明確な回答は避けられた。