2025-07-16 コメント: 1件 ▼
広島・湯崎知事がカザフスタンで核廃絶を呼びかけ 「もう一つの被爆地」と国境超えた対話へ
湯崎広島県知事、カザフスタンで核廃絶を呼びかけ
被爆80年の節目に「非核の誓い」国境越えて 旧ソ連核実験地で歴史と未来つなぐ対話
被爆地・広島から非核国家・カザフスタンへ
被爆80年を迎えた広島の地から、核兵器のない未来へ――。
広島県の湯崎英彦知事は7月15日、旧ソ連の核実験場があった中央アジア・カザフスタンを訪れ、政府高官と会談。日本とカザフスタンが核兵器廃絶に向けて連携を強化する意志を確認した。
湯崎知事が会談したのは、首都アスタナでカザフスタン外務省の核軍縮・不拡散担当ラフメトゥリン第1次官。広島県が進めてきた被爆証言の国際発信、若者による平和学習プログラム、核兵器禁止条約への支持活動などを紹介したうえで、「核のない世界」の実現へ共に取り組むことを呼びかけた。
カザフスタン側も「日本とともに進んでいきたい」と応じ、今後の協力拡大に前向きな姿勢を示したという。
450回以上の核実験 傷跡を乗り越えて
カザフスタンには、かつて旧ソビエト連邦が設置した「セミパラチンスク核実験場」が存在していた。冷戦時代を通じて450回を超える核実験が繰り返され、多くの住民が健康被害や環境汚染に苦しんだ歴史を持つ。
1991年の独立後、カザフスタンは国内に残された大量の核兵器を自らの意思で放棄。非核を国家の基本方針とし、国際社会において核不拡散や軍縮の分野で積極的な役割を担ってきた。
湯崎知事は滞在中、セミパラチンスク核実験場跡地を訪問する予定で、核による被害の歴史を記憶として継承し、両国の対話の象徴とする意向を示している。
「国を超えて、同じ苦しみを共有できる場があることに希望を感じる」
「カザフスタンも広島も、核の悲劇を乗り越えてきた場所だ」
「非核を掲げる両国が手を取り合う姿は、世界への強いメッセージになる」
「被爆80年、行動する知事の姿勢を支持したい」
「地味でも、こういう外交こそ真の安全保障だと思う」
対話こそが核の脅威に立ち向かう力
ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮の核開発、中国の軍拡など、核の脅威が現実味を増すいま、「核抑止」ではなく「核廃絶」への転換をどれだけ説得力あるかたちで示せるかが問われている。
湯崎知事は「対話と協力によってこそ、核のない未来は築ける」として、被爆地・広島の立場から核兵器の非合法化を訴える外交の先頭に立ってきた。今回の訪問も、政治的立場や地理的距離を超えて、「核兵器のない世界」にむけた市民レベルの外交の積み重ねだ。
カザフスタン外務省はこの訪問について、「不拡散と軍縮の分野における協力強化の象徴的な一歩」と評価しており、今後は両国の青年交流、被爆証言の共有、国際会議での連携などが具体化する可能性もある。
“もう一つの被爆地”とつながる広島の使命
広島とカザフスタン――
共通するのは、核兵器によって命と暮らしを奪われた土地であるという歴史だ。
だからこそ、両者が手を携える意味は大きい。いま、被爆者の平均年齢は85歳を超え、経験の継承は喫緊の課題となっている。広島県がこうして国際社会と手を結ぶ取り組みは、「記憶を共有する仲間」を増やすとともに、核兵器廃絶という人類共通の課題への現実的な一歩でもある。
湯崎知事の行動は、決して派手ではない。だが、一つ一つの対話が、次の世代へとつながる橋を架けていく――
そうした静かな決意が、この訪問には込められている。