2025-06-25 コメント投稿する ▼
広島知事、カザフスタン核実験場跡を視察へ 被爆80年で核廃絶連携を模索
広島県知事、カザフスタン核実験場跡地を視察へ
広島県の湯崎英彦知事が、来月7月に中央アジアのカザフスタンを訪問する方向で最終調整に入っている。現地では、冷戦期に繰り返し核実験が行われた「セミパラチンスク核実験場」の跡地を視察する見通しだ。
広島といえば、1945年8月6日に人類史上初めて原子爆弾の惨禍を受けた地であり、被爆80年となる今年は特に「核なき世界」への発信力が問われている。今回の訪問は、核実験によって多大な被害を受けたカザフスタンとの連携を深め、核廃絶の機運を高める目的があるとされている。
核実験450回以上…セミパラチンスクの記憶
湯崎知事の訪問先となる「セミパラチンスク核実験場」は、旧ソビエト連邦が1949年から1989年までの間に450回以上の核実験を行った地域だ。今なお住民の健康被害が報告されており、現地政府は「150万人以上が何らかの影響を受けた」と公表している。
実験場跡地には資料館や記念碑が整備されており、当時の悲惨な状況や人体への影響を詳しく伝える施設が点在している。湯崎知事はこれらを視察し、被爆地・広島と同じく核被害の実情を内外に伝える姿勢を示すとみられる。
広島県関係者は「核兵器の非人道性を共有する国と手を携えることが、核廃絶の現実的な道筋になる」と述べており、今回の視察は国際連携の一歩としても注目されている。
カザフスタンの国際的役割と日本の立ち位置
カザフスタンは、かつて核保有国だったが、独立後の1990年代初頭にすべての核兵器を廃棄。その後は積極的に非核政策を推進し、今年3月には核兵器禁止条約(TPNW)の締約国会議で議長国を務めた。
このような背景から、同国は核廃絶を象徴する国のひとつとして国際社会でも評価されており、広島との関係強化は「被爆地からの外交」として意味を持つ。
一方、日本政府としては依然として核兵器禁止条約には署名しておらず、「唯一の戦争被爆国」としての立場が揺らいでいる。自治体レベルでの動きが国の外交を補完する格好となっているが、限界もある。
「日本政府はなぜカザフスタンのように明確な非核方針を取れないのか?」
「また地方任せ?国の腰が重すぎる」
「広島知事の行動は評価する。でもこれじゃ平和外交じゃなくて“平和観光”」
「こういう外交こそ政府主導でやるべき。広島や長崎に任せっきりは情けない」
「まず国として核禁条約に向き合え。自治体が代弁してる現状が異常」
こうしたネット上の声には、国の主体性を問う厳しい意見も多く見受けられた。
被爆80年、広島から問われる国の覚悟
広島が被爆してから80年の節目を迎える2025年。湯崎知事の今回の訪問は、広島県としての歴史的使命を改めて国際社会に訴える場でもある。だが、真に核廃絶を実現するには、自治体の努力だけでは不十分であり、国としての外交的な決断が不可欠だ。
「戦争をしない国」として憲法を掲げながらも、核の傘に依存し続ける日本。平和国家を標榜するのであれば、少なくとも世界の被爆地と連帯する姿勢を明確にするべきだ。
湯崎知事のカザフスタン訪問は、政府が果たすべき責任を問い直す契機となるだろう。核廃絶の旗印を掲げ続けることと、実際の外交行動とが一致しているか。国民はその整合性に敏感だ。
国が声を上げないなら、地方からでも動く。だが、その構図がいつまでも続くようでは、真の「核なき世界」は遠いままだ。