2025-11-27 コメント投稿する ▼
茨城県がサツマイモ基腐病で緊急事態宣言解除 26ヘクタール土壌消毒完了
茨城県は2025年11月27日、サツマイモの基腐病(もとぐされびょう)感染拡大を受けて11月18日に発出した緊急事態宣言を解除したと発表した。 ひたちなか市の畑で計6件の感染が確認されたものの、約26ヘクタールの土壌消毒計画が完了したため、感染拡大阻止に一定のめどが立ったと判断した。
茨城県は2025年11月27日、サツマイモの基腐病(もとぐされびょう)感染拡大を受けて11月18日に発出した緊急事態宣言を解除したと発表した。ひたちなか市の畑で計6件の感染が確認されたものの、約26ヘクタールの土壌消毒計画が完了したため、感染拡大阻止に一定のめどが立ったと判断した。県内でサツマイモに対する緊急事態宣言を発出したのは今回が初めてで、迅速な防疫措置により日本有数のサツマイモ産地を守った形となった。
全国に拡大する基腐病の脅威
基腐病は糸状菌(カビの一種)によって引き起こされる病害で、感染するとサツマイモの地際部から茎が枯れ、塊根(イモ)がなり首側から腐敗する症状を起こす。発生すると防除が困難な病害として農家の間で恐れられており、収穫量の大幅な減少を招く深刻な問題となっている。
この病気は2018年に沖縄県で初めて確認されて以降、鹿児島県や宮崎県などの九州地方から全国に急速に拡大している。現在までに熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県、岐阜県、群馬県、茨城県、東京都、千葉県、岩手県、愛媛県、福井県、埼玉県、山形県、石川県、北海道など20以上の都道府県で発生が確認されており、日本のサツマイモ産業に深刻な打撃を与えている。
特に人気品種の「べにはるか」での被害が深刻で、感染した農場では収穫皆無となるケースも報告されている。病原菌は感染した種イモや苗、土壌中の病変残渣を通じて拡散し、一度発生すると数年にわたって影響が続くため、「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の3つの対策を総合的に実施することが重要とされている。
「基腐病が広がると本当に大変なことになる。一度感染すると畑全体がダメになってしまう」
「干し芋の原料がなくなったら産業自体が成り立たない。県の対応は適切だった」
「他県では深刻な被害が出ているから、茨城でも早めの対応が必要だと思っていた」
「消毒作業は大変だけど、産地を守るためには仕方がない。協力するしかない」
「来年も安心してサツマイモを作れるように、しっかりと対策を続けてほしい」
茨城県での感染確認と緊急対応
茨城県内では2025年11月5日、ひたちなか市の生産者が収穫したサツマイモの品種「シルクスイート」に異常を発見し、県の農林事務所に連絡したことから問題が発覚した。県農業総合センター病害虫防除部での遺伝子診断により基腐病と判明し、その後18日までに同市内で計6件の感染が相次いで確認された。
県内での基腐病発生は2022年5月に県北地域で確認されて以来、約3年半ぶりのことだった。大井川和彦知事は18日の記者会見で「基腐病が広がってきている可能性が出てきた。しっかりと根絶することで産地を守っていきたい」と強調し、ひたちなか市全域を対象とした緊急事態宣言を発出した。
県は最初に感染が確認された畑から500メートル周辺を対象に、市やJAの職員と協力して緊急の防疫措置を実施した。他の作物を生産する畑も含めて計26ヘクタールの土壌消毒を計画し、約1週間で作業を完了させた。サツマイモ畑については全ての消毒作業が終了し、感染拡大のリスクが大幅に低下したと判断されたため、27日に緊急事態宣言の解除に至った。
日本有数の産地としての重要性
茨城県は鹿児島県に次ぐ全国第2位のサツマイモ生産県で、特にひたちなか市周辺は日本最大の干し芋産地として知られている。県内の2019年産サツマイモの収穫量は約9万4000トンに上り、作付面積は約4040ヘクタールと全国でもトップクラスの規模を誇っている。
主要品種は生食用・加工用として人気の高い「ベニアズマ」が2580ヘクタール、近年人気が急上昇している「べにはるか」が860ヘクタール、伝統品種の「高系14号」が226ヘクタールとなっている。特に干し芋の原料となる品種の栽培が盛んで、茨城県産の干し芋は全国シェアの約9割を占める圧倒的な地位を築いている。
ひたちなか市では収穫シーズンになると、農家が干し台の上一面に薄く切ったサツマイモを敷き詰める風景が広がり、地域の代表的な風物詩となっている。この光景は観光資源としても注目を集めており、基腐病の感染拡大は地域経済全体に深刻な影響を与える可能性があった。
県農業技術課は「大産地で起きた重大な事案で、まん延防止に全力で取り組む」として、今後も継続的な監視と防疫体制の強化を図る方針を示している。生産者に対しては健全な種イモの使用、苗の消毒、定期的な圃場観察による早期発見などの対策徹底を呼びかけている。
今後の課題と対策強化
今回の緊急事態宣言解除は一つの区切りではあるが、基腐病との戦いは今後も続くことが予想される。県は来年度以降のサツマイモ栽培に向けて、バイオ苗の導入促進や蒸熱消毒の徹底、種イモ専用圃場の設置など、より包括的な防除体制の構築を進める計画だ。
また、植物防疫法に基づく「茨城県総合防除計画」では、基腐病を指定病害虫として位置づけ、農業者が遵守すべき事項を明確に定めている。発生を確認した場合の関係機関への連絡、発病株の抜き取り、県が実施するまん延防止調査への協力などが義務付けられており、法的拘束力を持った防除体制が整備されている。
全国的に見ると、鹿児島県や宮崎県など九州の産地では基腐病により収穫量が大幅に減少する深刻な被害が続いており、サツマイモの市場価格にも影響が出始めている。茨城県としては今回の迅速な対応を教訓に、他県と連携した情報共有体制の強化や、新たな防除技術の導入検討など、長期的な視点での対策強化が求められている。