2025-11-24 コメント投稿する ▼
茨城坂東市廃プラスチック工場火災15時間燃え続け消防車10台投入も鎮火困難
警察によりますと、廃プラスチックのリサイクル工場の産業廃棄物などが入っている大量の袋が燃え、風の影響で、付近の木などにも火が燃え移った状況です。 2018年の火災も今回の火災も、どちらも廃プラスチックリサイクル工場で起きており、同じ種類の施設で同じような火災が繰り返されているわけです。 これは偶然ではなく、廃プラスチックリサイクル工場という施設が持つ、構造的な火災リスクの高さを示しています。
難航する消火活動
茨城・坂東市の廃プラスチック工場火災 消防車10台投入も15時間燃え続ける 7年前にも同様の火災発生
2025年11月23日午後10時40分ごろ、茨城県坂東市幸田のリサイクル業「大宇産業」の廃プラスチック加工工場で火災が発生し、発生から15時間が経過した現在も消火活動が続いています。この火災は、廃プラスチック特有の燃焼特性により消防車10台が投入されても鎮火の見通しが立たない異例の長期火災となっています。
屋外保管の廃プラスチックが延焼拡大
警察によりますと、廃プラスチックのリサイクル工場の産業廃棄物などが入っている大量の袋が燃え、風の影響で、付近の木などにも火が燃え移った状況です。敷地内の建屋3棟が全焼し、置かれていた廃プラスチックを焼いたと報告されています。
現場では火災発生からおよそ13時間が経った今でも、黒い煙がもくもくとあがっていて、時折、プラスチックが燃えたようなツンと鼻につく臭いがしていますと現地記者が報告しています。
「破裂音がした。夜なのに、本当に夕方のように明るい状態になっていて」
「とてつもなく高く炎があがっていて、高いところまで火の粉があがっていた」
「風向きが変わったら、それだけ心配。火の粉が家に飛んでくるかもしれない」
「プラスチックが焦げた臭いが家まで届いている状況です」
「400メートル先に小学校もあるので子どもたちが心配」
周辺住民からは、夜間にも関わらず火災の明るさで昼間のようになったという証言や、高く舞い上がる火の粉への不安の声が相次いでいます。
廃プラスチック火災の消火困難な理由
廃プラスチックは、石油由来の合成樹脂であり、一度火がつくと高温で激しく燃焼し、大量の黒煙を発生させる特性を持っています。また、燃焼の過程で溶けて固まることで、内部への水の浸透が妨げられ、表面を消火できても内部でくすぶり続ける難燃性が消火活動を困難にしています。
産業廃棄物などが入った容器が次々に燃えているとみられ、現在も火の勢いは弱まっていませんと報告されており、通常の火災とは異なる特殊な燃焼パターンを示しています。
坂東市で7年間に2度目の大規模廃プラ火災
今回の火災で注目すべき点は、坂東市では7年前にも同様の火災が発生していることです。2018年4月4日午前6時54分ごろ、坂東市莚打の廃プラスチックリサイクル会社「大作商事」の工場から出火し、工場と倉庫、事務所の計3棟を全焼し、黒煙が立ち上りながら約10時間燃え続けた記録があります。
2018年の火災も今回の火災も、どちらも廃プラスチックリサイクル工場で起きており、同じ種類の施設で同じような火災が繰り返されているわけです。これは偶然ではなく、廃プラスチックリサイクル工場という施設が持つ、構造的な火災リスクの高さを示しています。
全国的な産廃施設火災の頻発
2019年の消防白書によると、全国で工場・作業所の火災は年間約1,803件発生しています。これは1日当たり約5件弱のペースです。特に廃棄物処理施設では事故の3割が火災となっていますという統計が示すように、産業廃棄物処理施設の火災リスクは極めて高い状況にあります。
産業廃棄物を処理する施設の中では事故や災害のリスクは高くなります。焼却施設での火災、ガス漏れ等による爆発など数えればきりがありませんと専門機関も警告しています。
廃プラスチックリサイクル工場では、可燃性の高い素材を大量に屋外保管することが多く、一旦火災が発生すると長時間の燃焼が続く構造的問題を抱えています。今回の坂東市での火災は、リサイクル施設の安全管理体制の抜本的見直しと、より厳格な火災予防対策の必要性を浮き彫りにしています。
幸い今回の火災でけが人や逃げ遅れは報告されていませんが、周辺住民の生活への影響は長時間に及んでおり、環境型社会を目指すリサイクル事業の安全性確保が急務となっています。