2025-10-08 コメント: 1件 ▼
茨城―台北便、26日から運休 地方空港の国際線消滅が映す「空の格差」
現在、週2便で運航しているこの路線は、コロナ禍後の国際交流の回復を象徴する存在でしたが、わずか数年で再び途絶えることになります。 今回の運休で、定期国際線はゼロになります。 専門家は「地方空港の国際線は航空会社の経営環境次第で簡単に消える。 台北便はその象徴的な存在でしたが、運休により県の国際戦略は大きな打撃を受けることになります。
茨城―台北便、26日から運休へ 地方空港の国際線縮小が象徴する“空の格差”
茨城県は8日、茨城空港と台湾・台北(桃園)を結ぶ「タイガーエア台湾」の定期便が、10月26日から運休になると発表しました。現在、週2便で運航しているこの路線は、コロナ禍後の国際交流の回復を象徴する存在でしたが、わずか数年で再び途絶えることになります。
県によると、運休の主な理由は「台北到着が深夜となり利便性が低下したこと」と「タイガーエア台湾のパイロット不足による路線再編」。県の空港対策課は「台北路線は本県と台湾の相互交流を支える重要なルート。早期再開に向けて航空会社や関係機関に働きかけていく」としています。
「深夜着で使いづらい」 利用者からも落胆の声
台北行きが深夜便となっていたことで、ビジネス客や観光客からは利用しづらいという声が多く寄せられていました。県内の旅行業者は「せっかく定着してきた国際線が再び止まるのは残念。県の利用促進策も中途半端だった」と語ります。
「やっと海外路線が戻ってきたと思ったのに、また運休か」
「羽田や成田まで行くのは時間もお金もかかる」
「茨城空港は駐車場無料で便利だったのに」
「パイロット不足というけれど、地方路線ばかり切られるのは不公平」
「再開を望むが、今度は“本気の支援”をしてほしい」
SNS上にもこうした不満と諦めが入り混じる声が広がっています。
地方空港の限界、国の政策にも課題
茨城空港は2010年に開港し、LCC(格安航空会社)を中心に国際線を誘致してきました。しかし、東京圏に近いという地理的利点を十分に生かしきれていないのが現状です。今回の運休で、定期国際線はゼロになります。
専門家は「地方空港の国際線は航空会社の経営環境次第で簡単に消える。国や自治体が“空の地方分権”をどう実現するかが問われている」と指摘します。近年、円安の影響で訪日外国人観光客が急増しているにもかかわらず、地方空港にはその恩恵が及んでいません。背景には、航空行政の中央集権的な構造があるとされます。
自治体の観光戦略にも見直し必要
茨城県は近年、台湾との経済・観光交流を重点施策に掲げ、県内では台湾企業の進出も進んでいました。台北便はその象徴的な存在でしたが、運休により県の国際戦略は大きな打撃を受けることになります。
県関係者は「国交回復以来、台湾との結びつきは県民にとって特別。交流事業の多くが航空路線に依存しており、このままでは交流が細ってしまう」と危機感をにじませました。
一方で、観光業界からは「県が空港整備に予算を割くだけでなく、定期便維持のための協調金制度を導入すべき」との声も上がっています。地域経済を支えるインフラとして、空港の運用支援をどう制度化するかが今後の焦点となりそうです。
“空のインフラ”を守るために
地方空港の国際線撤退は、地域の人口減少と表裏一体です。航空会社が採算を重視するのは当然ですが、その結果として地域の活力が奪われている現実を放置してはなりません。高市早苗政権が掲げる地方再生政策の中で、こうした「空の格差」にどう向き合うかが問われています。
国が大都市偏重の交通政策を改め、地方空港にも持続的な国際路線支援を行う体制を築けるか。茨城―台北便の運休は、その試金石となる出来事です。