2025-11-19 コメント投稿する ▼
敦賀2号機の活断層調査現場公開 日本原電の再申請時期は見通せず
同機は去年11月、国の原子力規制委員会が敦賀2号機の原子炉建屋真下に活断層がある可能性が否定できないとして、再稼働を不適合としたばかりで、新規制基準下で初の不合格となった。
敦賀2号機の追加調査現場を公開 再申請時期は見通せず
日本原子力発電(日本原電)は11月19日、敦賀原発2号機の再稼働に向けた追加調査の現場を報道陣に公開した。同機は去年11月、国の原子力規制委員会が敦賀2号機の原子炉建屋真下に活断層がある可能性が否定できないとして、再稼働を不適合としたばかりで、新規制基準下で初の不合格となった。
日本原電は8月21日、再稼働を目指している敦賀発電所2号機の新規制基準への適合性確認のための追加調査計画を発表し、9月16日から本格的な追加調査を開始している。同社は活断層の疑いを晴らすため、大規模な地質調査に踏み切った。
活断層問題の核心
敦賀発電所1、2号機の敷地内には破砕帯(古くもろい断層)が、少なくとも約160本存在し、活断層の浦底―柳ケ瀬山断層帯(浦底断層)が通っている状況にある。特に問題となっているのが、K断層と呼ばれる断層の存在だ。
議論の焦点は、建屋の近くで確認され、活断層の可能性があるK断層が、原子炉直下にある別の断層につながるかどうかという点にある。規制委は「評価の信頼性が乏しい」などとし、活断層がある疑いを否定できないとの結論を出した。
調査現場では、岩盤の掘削やボーリング、採取した地層のCTでの観察などが行われている。調査範囲は敦賀原発の敷地内だけでなく、隣接地にある廃炉作業中の「ふげん」の構内にまで拡大して実施されている。
国民の間では、この調査に対して厳しい視線が向けられている。
「何十年も前から指摘されていた活断層問題を、なぜ今さら調査しているのか」
「安全性が確認できないなら、素直に廃炉にすべきではないか」
「莫大な調査費用は最終的に電気料金に転嫁されるのではないか」
「地震大国日本で活断層の上に原発を建てること自体が間違いだった」
「日本原電の経営体質に根本的な問題がある」
長期間に及ぶ調査計画
同社は早ければ9月から2年程度かけて、敷地内の断層の調査や破砕帯に関する調査・評価に取り組む。社外の専門家の意見も踏まえながら、原子力規制委員会への審査の再申請を目指す考えだ。
追加調査では、K断層の分布と性状を詳細に把握すべく、同断層が確認されているD-1トレンチの地下深部までボーリングを実施する予定。そして、12~13万年前より古い断層であることの立証に向け、地層の拡がりや堆積年代に係るデータを蓄積するという。
しかし、日本原電は今後2年程度かけて追加調査と調査結果の評価を行う予定だが、必要に応じてさらに調査を追加する可能性もあり、再申請する時期の見通しは立っていない状況だ。
日本原電の苦境
日本原子力発電(日本原電)の敦賀原子力発電所(福井県)は、1970年に運転を始めた日本で2番目に古い原発だ。しかし、それは活断層でずれ動く地盤の真上に造られていたという根本的な問題を抱えている。
原子力規制委員会は同年7月26日の審査会合で基準不適合と判断。同月31日の定例会合で、原電社長の意見を聞いた上で結論を出すことを決めた。結局、8月2日の原電社長の説明でも追加調査の具体的な時期や科学的な根拠を示すことができず、9年に及ぶ審査が幕を閉じた。
福井県内の会合に出席していた村松衛社長は報道陣に、廃炉について「考えていない」とした上で「資料が不十分、不正確なところがあるとの指摘の中で、追加調査をお願いした」と説明したが、規制委の判断を覆すのは極めて困難とみられている。
根深い信頼性の問題
敦賀2号機を巡っては、活断層問題以外にも信頼性に関わる問題が指摘されている。2020年12月15日に日本原電による敦賀2号機資料書き換え問題について原子力規制委員会が、日本原電本店への立ち入り検査を終え、2021年8月18日には信頼性が失われたものとして、原子力規制委員会は審査の中断を決定した経緯もある。
この資料改ざん問題により、日本原電への不信は決定的なものとなり、技術的な問題解決だけでは済まない状況になっている。
追加調査により活断層の疑いを払拭できたとしても、過去の不正行為や長年にわたる説明不足により失った信頼を回復するのは容易ではない。日本原電にとって、技術的課題と信頼回復という二重の難題に直面している状況だ。
今回の調査現場公開は、透明性を示そうとする姿勢の表れとも見られるが、根本的な問題解決への道のりは依然として険しいものとなっている。