83年越しの祈り、海底へ 長生炭鉱遺骨収容へ日韓共同で一歩前進

2025-04-01 コメント投稿する

83年越しの祈り、海底へ 長生炭鉱遺骨収容へ日韓共同で一歩前進

1942年、山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で発生した水没事故。あの日から83年。いまだ海底に眠る183人の犠牲者の遺骨を掘り起こそうと、地元の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が3度目となる潜水調査を行った。今回は初めて韓国からのダイバーも参加し、日韓による合同調査が実現した。

民間の力で坑口を発見 国の消極姿勢に風穴


事故が起きたのは1942年2月3日の朝。戦時下の増産命令のもと、炭鉱では本来採掘が禁じられていた浅層を掘り進めていた。天井を支える炭柱までも取り払ったことで、沖合1キロの坑道が崩落。坑内にいた作業員183人が閉じ込められ、そのうち136人が朝鮮半島出身だった。

この事故を語り継ぐために発足した刻む会は、2013年に慰霊碑を建立。次なる目標として掲げたのが、海底に眠る遺骨の発掘と帰還だ。政府は、これまで「地中にある見える遺骨のみが調査対象」として海底の遺骨には消極的だったが、刻む会はクラウドファンディングを通じて資金を集め、自力で坑口の掘削に踏み切った。

昨年9月、ついに地中4メートルに埋もれていた坑口を発見。今年2月、世界的な水中探検家・伊左治佳孝さんの協力で初の本格潜水調査が実施され、大きな前進を果たした。

初の日韓共同ダイブ 濁る視界のなか手探りで探索


4月1日から4日まで行われた今回の調査では、韓国からもトップクラスのダイバー、金京洙さんと金秀恩さんが参加。2日間にわたる合同潜水で、崩落が起きたとされる坑口から250メートル先の奥へと続くルートを探索した。

坑道内は、複雑な構造物が折り重なり、「ジャングルジムの中を這い回るようだった」と伊左治さん。視界は極めて悪く、手探りの調査だったが、韓国の2人は「今回だけで終わらせるべきではない。続けることが大切だ」と語った。

ピーヤからの調査がカギに 次回に向け準備進む


最終日の4日には、伊左治さんが坑道の排水・排気塔「沖のピーヤ」から単独で潜水調査を実施。遺骨があるとされる場所に最も近いとされるこのルートに、今後の調査の可能性が見えてきた。

刻む会は、6月に予定されている次の調査に向け、ピーヤ内部に残る鉄管や障害物の撤去費用として700万円を目標に再びクラウドファンディングを開始。「困難は多いが、市民の力でここまで来た。国が本気で動くよう、これからも声を上げていく」と井上洋子共同代表は語る。

政府も動き始めるか 首相が支援を示唆


今回の調査には、社民党の大椿ゆうこ参院議員も現地で同行。その様子を受け、7日の参院決算委員会では石破茂首相が「尊い取り組み」と評価。「必要があれば現場に赴くことも選択肢」「政府としてどのような支援ができるか検討したい」と答弁し、国の関与の可能性に言及した。

刻む会は4月22日、厚生労働省と外務省の担当者との意見交換を予定している。市民の粘り強い取り組みが、ついに国を動かすときが来たのかもしれない。

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2025-04-18 10:30:14(藤田)

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