2025-05-29 コメント: 1件 ▼
選択的夫婦別姓に慎重論 家族の絆と社会秩序に与える影響とは
国民的議論を求める声高まる 選択的夫婦別姓制度の行方
選択的夫婦別姓をめぐる議論が再び国会の場に持ち込まれようとしている。公明党の斉藤鉄夫代表は5月29日、党の中央幹事会でこの制度について言及し、「多くの国民の理解と納得が得られる形での丁寧な議論が必要だ」と述べた。公明党は党内に専門チームを設置し、制度の是非や影響について検討を重ねてきた。30日には衆院法務委員会での審議が始まる見通しだ。
家庭の形を揺るがす制度に懸念の声
選択的夫婦別姓制度とは、結婚後も夫婦がそれぞれの姓を名乗れるようにする仕組みだが、これに対しては依然として慎重な声が根強い。特に、家族の一体感が失われるのではないかという不安や、子どもの姓をどのように扱うのかといった実務面の課題が指摘されている。
例えば、夫婦で異なる姓を選択した場合、子どもがどちらの姓を名乗るかによって家庭内に“見えない壁”ができかねない。さらに、学校などでの混乱や、行政の窓口対応が煩雑になるといった実務上の課題も無視できない。
世論調査は賛成多数だが、世代間ギャップも
近年の世論調査では、選択的夫婦別姓に対する賛成が過半数を超えている。しかしその内訳を見ると、若年層での賛成が目立つ一方、高齢層では反対の声が多く、世代間のギャップが浮き彫りになっている。若者は「個人の自由」を重視する傾向があるが、高齢者層は「家族の伝統や一体感」を重視する傾向が強い。
このような状況では、制度導入が社会に分断を生むリスクも否めない。国会での議論においては、単なる数字の賛否にとどまらず、家族観の変化や国民感情の多様性を十分に汲み取った議論が求められる。
「選択」の名の下に広がる社会的同調圧力
「選択的」とは言っても、実際には「別姓を選ばなければ時代遅れ」といった空気が広がることで、逆に選択の自由が失われる懸念もある。特に職場や地域社会などで、「別姓であることが当然」と見なされるようになれば、個人の意志ではなく“空気”による選択が支配する事態も起こりうる。
日本は長らく「夫婦同姓」という仕組みに支えられ、家族の一体感を尊重する文化を築いてきた。この制度を見直すことは、単に名字の問題にとどまらず、社会の根幹にかかわるテーマであり、拙速な制度化は避けなければならない。
SNS上の反応も割れる
ネット上でもこの制度を巡って意見が分かれている。
「夫婦で名前が違っても家族は家族。多様性が認められる時代に合っている」
「子どもがどちらの名字になるかで揉める未来が目に見える。慎重に進めて」
「選択と言いながら、事実上“別姓にしなきゃ時代遅れ”という圧力が強まるのでは?」
「自分たちはいいけど、子どものことをもう少し真剣に考えてほしい」
「大事なのは名字よりも家族の絆。でも、その絆が壊れる不安もある」
制度改革は拙速に進めるべきではない
選択的夫婦別姓は、社会構造や家族観の変容と密接に関わる問題だ。自由な選択を尊重することは重要だが、一方で家庭の秩序や社会全体への影響も慎重に見極める必要がある。国会での議論を通じて、多角的かつ冷静な視点から制度の是非を検証し、拙速な導入ではなく、広く国民が納得できる合意形成を目指すことが不可欠である。