2025-03-20 コメント投稿する ▼
災害時の避難所環境を改善へ 坂井防災相、イタリアの先進事例を視察
■ イタリアの避難所モデルとは?
イタリアでは、災害発生から48時間以内に、避難所に必要な設備がパッケージで届けられる仕組みになっている。トイレやシャワー、温かい食事を提供するキッチンカーなどが整備され、被災者が過酷な環境で生活することを防ぐのが特徴だ。特に、トイレ・キッチン・ベッドの3つを48時間以内に確保する「TKB48」という基準が設けられ、これが避難所環境の最低ラインとされている。坂井大臣も、こうした仕組みの実際の運用について担当者から詳しく説明を受けた。
■ 日本の避難所、何が課題?
日本の避難所は、体育館などの公共施設に避難者が雑魚寝する形が一般的で、プライバシーや衛生環境の確保が課題となっている。特にトイレの不足や、入浴・シャワー設備の欠如は、過去の災害でも大きな問題となった。日本政府はこれまで、間仕切りや簡易ベッドの導入を進めてきたが、イタリアのような包括的な避難所設備の整備には至っていない。
■ スフィア基準の導入を検討
坂井大臣は「日本でも、国際的な避難所基準を取り入れることが必要ではないか」と述べた。この「スフィア基準」とは、1人あたりの生活スペースを3.5平方メートル以上確保することや、トイレは20人に1つ以上用意することなど、避難所の最低限の環境を定めた国際基準だ。日本の避難所はこれを満たしていないケースが多く、政府は今後、自治体向けの避難所指針を改定し、基準の導入を進める方針だ。しかし、自治体によって財源や人手の確保が難しく、実現には国の積極的な支援が不可欠とみられる。
■ 官民連携で避難所環境を向上へ
坂井大臣は、今後は官民が協力して避難所の環境改善に取り組むべきだと強調した。災害が発生してから準備するのではなく、平時から必要な設備を確保し、迅速に展開できる仕組みを整えることが重要になる。特に、民間のノウハウを活用し、トイレやシャワーの迅速な設置、食事の提供体制を充実させることが求められる。
坂井大臣の視察をきっかけに、日本の避難所環境がどこまで改善されるか注目される。イタリアのような先進的な仕組みを参考にしつつ、被災者が少しでも快適に過ごせる避難所を整備することが今後の課題となる。