2025-04-04 コメント投稿する ▼
自治体システム標準化、3割が期限に間に合わず 技術者不足とコスト増に苦慮
この取り組みは、住民基本台帳や税務処理など、自治体の基幹業務に使われる情報システムを、国が定めた仕様に揃えるというもの。対象となるのは全国で3万4千件以上のシステムで、政府としては2025年度末までにすべて移行を完了させたい考えだった。
しかし今回、間に合わないとされた554自治体では、合計で2,989システムが期限内の移行完了は困難だと判断された。
なぜ移行が進まないのか
移行が滞っている理由のひとつは、なんといっても「人手不足」だ。標準化に対応できるシステムエンジニアの数が圧倒的に足りておらず、全国の自治体が一斉に作業を進めようとしていることで、業者側がさばききれない状態になっている。
また、標準化を進めることでシステム開発や保守のコストを抑えられるという期待があったが、実際には逆に費用が膨らんでいるケースも多い。ある地方自治体の担当者は「見積もりより大幅に高くなり、予算の確保も簡単ではない」と漏らす。
さらに、国が示す「標準仕様書」が何度も改訂されていることも自治体の足を引っ張っている。すでに対応を進めていたのに、仕様が変わるたびにシステム設計や業務手順を見直さなければならず、現場の混乱は避けられない。
政府は「支援強化」で対応へ
こうした現状を受けて、デジタル庁は、期限内に間に合わない自治体やシステムを「特定移行支援」の対象として、支援の手を広げる方針を打ち出した。目標は2030年度末までの完了。さらに、開発などに使える基金についても、2025年度で期限が切れる予定だったが、これを5年延長する方針も決まった。
住民サービスに影響も
今回のシステム標準化は、行政手続きの効率化やクラウド活用の促進、ひいては住民へのサービス向上を目指す取り組みだ。だが、移行が遅れれば、それだけサービスの改善も先送りになる。
政府と自治体、システム業者が足並みをそろえ、混乱を最小限に抑えながら進めていけるかどうかが今後の鍵となりそうだ。
- デジタル庁は、554自治体が2025年度末までのシステム移行に間に合わないと発表
- 対象は全体の約3割で、昨年から152自治体増加
- 全国で対象のシステムは3万4592件、うち2989件が移行困難
- 技術者不足、コスト増加、仕様書の改訂などが原因
- 政府は2030年度末までの移行完了を目指して「特定移行支援」で支援強化
- 基金の活用期限も5年延長へ
- 行政サービスや住民対応に遅れが出る可能性も