2025-08-26 コメント投稿する ▼
中谷防衛相が臨時総裁選に反対 「減税民意」を無視する危うさと外交安保の課題
中谷防衛相「臨時総裁選は実施すべきではない」
自民党内では、参議院選挙での敗北を受け、党総裁選挙を臨時に行うべきかどうかをめぐって議論が進んでいる。こうした中で中谷元防衛相は閣議後の記者会見で、「厳しい国際情勢の中で政局を優先すれば外交や安全保障に悪影響を及ぼす」と述べ、臨時の総裁選を実施すべきではないとの立場を明確にした。
中谷氏は会見で「『政局は水際まで』と言われる。石破政権はアメリカとの関税交渉などで成果を挙げており、このタイミングで総裁選を行えば国益に反する」と指摘。さらに、仮に党内で意思確認を行う場合の手法については「記名投票とするかどうかは総裁選挙管理委員会で議論すべきだ」と述べ、党の手続きに委ねる姿勢を示した。
背景にある参院選敗北と党内の動揺
今回の議論の発端は、先の参院選における自民党の議席減少である。選挙結果を受け、党内の一部からは「責任を問うべきだ」「党の信任を確認する必要がある」との声が上がり、臨時の総裁選を求める動きが出ている。とりわけ石破茂総理の政権運営に対して、政策面で成果を評価する一方、党内融和や選挙態勢の再構築を求める意見が複数の派閥から示されている。
しかし、中谷氏のように「外交・安全保障の不安定化を避けるべきだ」との慎重論も根強い。国際的に不確実性が増す中で、日本の首相交代や総裁選が与える影響は大きく、アメリカや中国、韓国との関係にも波及しかねないという懸念が背景にある。
「減税」という民意をどう受け止めるのか
ただ、今回の参院選で国民が示した最大のメッセージは「減税」である。ガソリン税や消費税の軽減を掲げた勢力が支持を伸ばした一方、自民党が打ち出した給付金政策は有権者から厳しい審判を受けた。総裁選を開かずに「減税」という民意を無視することは、国民との距離をさらに広げることになりかねない。国民は「他の財源を探しての減税」を望んでいるのではなく、「取りすぎた税を軽くしてほしい」という一点を訴えているのである。
にもかかわらず党内が政局を避ける理由で総裁選を封じるのは、民意を軽んじた乱暴な判断と受け止められる危険性がある。外交や安全保障の継続性が重要であることは事実だが、同時に選挙で突き付けられた「減税」という国民の意思を反映する努力がなければ、政治不信を深めるだけだ。
自民党の党内民主主義と国益の両立が問われる
今回の中谷発言は、党内の権力闘争に警鐘を鳴らし、外交・安全保障を優先すべきだという強いメッセージを込めたものだ。しかし、国民が選挙で示した「減税」の民意を正面から受け止めることなく総裁選を避ければ、国益を守るどころか政権の正統性を損なう恐れがある。自民党にとっては、党内民主主義をどう守るか、そして国民の切実な減税要求にどう応えるかという二つの課題が同時に突きつけられている。
「外交の一貫性を失えば日本の信頼が揺らぐ」
「参院選で示された減税の声を無視するのは乱暴だ」
「石破総理の成果をもっと冷静に評価すべき」
「国民の審判を軽んじて政局を避けるのは逆効果」
「国益か政局か、選択を誤れば致命的になる」
石破政権下で進められる外交・安保政策と、参院選で示された減税民意。そのせめぎ合いの中で、自民党は難しい判断を迫られている。