2025-08-19 コメント投稿する ▼
防衛省、過去最大8.8兆円を要求 無人機配備重視と国民生活との両立が課題
防衛省、過去最大の概算要求へ
防衛省が2026年度当初予算案で過去最大となる約8.8兆円を概算要求する方向で最終調整していることが明らかになった。これは2025年度予算の8.7兆円を上回り、戦後の日本の防衛費としても過去最大規模となる。政府は2023年度から2027年度までの5年間で防衛費総額43兆円とする計画を掲げており、その中で年ごとの増額が続いている。
今回の要求では、特に無人機(ドローン)の配備強化を柱に据えている。昨今の戦争事例を見ても、無人機の活用が戦場の在り方を大きく変えており、情報収集や攻撃能力の向上が求められている。防衛省は周辺諸国の軍拡を踏まえ、日本としても抑止力の強化が急務だと判断した。
GDP比2%達成に向けた動き
政府は防衛費を国内総生産(GDP)比2%まで引き上げる方針をすでに示している。2025年度の防衛費はGDP比で1.8%前後だったが、2027年度には2%を見込む。防衛省単体の予算だけでなく、他省庁の研究開発費や関連予算も含める形で「NATO基準」に合わせようとする姿勢が明確だ。
一方で、財政状況は依然として厳しい。少子高齢化による社会保障費の増加や国債依存体質が続く中、防衛費拡大は国民生活へのしわ寄せにつながる可能性が指摘されている。特に国民からは「防衛は必要だが、同時に減税を行わないと暮らしは苦しい」という声も上がっている。
「国を守るのは大事だが、まず生活を守ってほしい」
「減税なしで防衛費だけ増やすのは納得できない」
「無人機の導入は理解できるが、財源はどうするのか」
「社会保障を削って防衛ばかりにお金を回すのは不安」
「抑止力よりも国民生活への投資を優先してほしい」
無人機重視の背景
無人機を重視する背景には、ロシアによるウクライナ侵攻や中東での武力衝突など、最新の戦闘事例がある。無人機は比較的低コストで偵察・攻撃に使え、被害を最小限にしつつ作戦を遂行できることが実証されている。中国や北朝鮮も無人機戦力の拡充を進めており、日本も遅れを取らないための導入が急務となっている。
ただし、防衛費拡大の議論では「給付金やバラマキではなく、国民に直接還元する減税こそ必要」との主張が根強い。国民が求めているのは「新たな財源を探して防衛と減税を両立する」ことではなく、「取りすぎた税をまず減らす」ことだという意識が広がっている。防衛費増額と減税の両立ができなければ、国民の不満が高まるのは避けられない。
課題と今後の展望
石破政権は防衛強化を国の最重要課題の一つと位置づけているが、国民の理解を得るには「どのように安全保障と生活防衛を両立させるか」を示す必要がある。防衛力整備を進めながら、インボイス制度廃止や減税といった経済政策も並行して実施しなければ、国民の支持は広がらない。
また、スパイ防止法の制定や重要インフラ防衛といった制度面での強化が後回しになっている点も課題だ。軍事的な装備だけではなく、情報戦や経済安全保障を含めた総合的な備えが求められている。今回の防衛費概算要求は「量の拡大」だけでなく「質の転換」をどう進めるかが問われる。
石破首相が掲げる「国を滅ぼさないための防衛力整備」は方向性として理解される部分がある一方、国民にとって切実なのは日々の生活コストの軽減だ。防衛費増額を推し進めるのであれば、その説明責任と減税による生活支援の両輪が欠かせないだろう。