2025-07-01 コメント: 1件 ▼
イスラエル・イラン情勢の緊張緩和で自衛隊機撤収へ 中谷防衛相「万全の備え継続」
イスラエル・イラン情勢の緊張緩和で自衛隊機撤収命令 日本人退避支援の役割を終える
ジブチ待機のC2輸送機、撤収へ 中谷防衛相が正式発表
中東情勢の悪化に備えてアフリカ・ジブチに派遣されていた航空自衛隊のC2輸送機2機について、中谷元防衛大臣は7月1日、正式に撤収命令を出したと明らかにした。
今回の派遣は、先月勃発したイスラエルとイランによる軍事衝突を受け、現地に滞在する日本人の安全確保を目的に実施された措置。日本政府は事態の緊迫化を受け、迅速な退避支援を可能にするため、自衛隊法に基づき派遣を決定していた。
防衛省はジブチの自衛隊拠点にC2輸送機2機と隊員約120人を配置。空路退避の準備を整えていたが、実際には希望者のほとんどが陸路で隣国へ退避し、民間航空機の運航も再開されつつあることなどから、「実働の必要性はなくなった」と判断された。
中谷大臣は記者会見で、「輸送機は帰国させるが、今回の活動で得た経験と教訓を今後に生かし、いかなる事態にも対応できるよう万全を期す」と述べた。
トランプ政権の停戦仲介、情勢は“沈静化”の兆し
日本政府の今回の対応の背景には、アメリカのトランプ大統領による停戦合意の発表もある。イランとイスラエルの対立は一時は報復の連鎖に発展する恐れもあったが、第三国による仲介で一定の緊張緩和が図られたとされる。
日本政府は事態がさらに悪化する可能性も視野に入れ、退避用の航空機を用意するなど「最悪を想定した備え」を優先したが、最終的には実際の輸送任務を行うことなく終結した。
「何も起きなかったことが一番の成果」
「即応できる体制があったからこそ、安心できた」
「撤収は当然。でも出せる準備があったのは評価すべき」
SNSでは、自衛隊派遣の迅速な対応を評価する声が多く見られた。一方で、「そもそも政府の発信が遅かった」「退避対象が限られていたのでは」など、政府の危機対応の透明性を問う声も散見される。
「想定外の危機」に備える国際対応力
今回のような急な緊張の高まりに対して、日本はジブチに自衛隊の海外拠点を有していたことが、大きな機動力につながった。ジブチは海賊対策のため2011年に自衛隊が拠点を設けて以来、さまざまな危機対応の要所となっている。
中谷防衛相は、「今回の派遣は、実際の輸送任務こそなかったが、事態の急変に備えるための準備と訓練として有意義だった」と振り返った。
自衛隊による在外邦人保護は、自衛隊法第84条の4に基づき実施されており、実際に輸送するには対象人数や情勢などにより政府判断が必要となる。過去には2016年の南スーダン情勢でも同様の措置が取られている。
危機対応の迅速性と信頼確保が鍵
政府による発表では、日本人希望者の多くが自衛隊機を待たずに陸路で隣国へ退避を完了させていたという。この背景には、現地の邦人ネットワークや、民間航空会社の運航再開などが寄与したとみられる。
ただし、「いざという時に自国の航空機で帰れる」という選択肢があったことは、日本人にとって精神的な支えとなったのは間違いない。
「航空機があるって聞いて安心した。結局使わなかったけど」
「外交ルートが止まっても、自衛隊機があるなら何とかなると思えた」
外交交渉だけでは解決できない“現場対応力”を示すことは、日本の国際的信頼にも関わる。自衛隊が国外で邦人保護の任を担う事例が増える中、法的・運用的な整備も今後の課題となる。