2025-06-11 コメント投稿する ▼
防衛省、南鳥島に警戒レーダー配備を検討 中国空母の太平洋進出に対抗し防空強化へ
南鳥島に移動式レーダー配備を検討 防衛省、中国空母の太平洋進出に対抗
防衛省が太平洋の最前線にあたる南鳥島(東京都小笠原村)への移動式警戒管制レーダーの配備を本格的に検討していることが明らかになった。これは、中国海軍の空母が初めて「第2列島線」を越えて太平洋に進出するなど、軍事的プレゼンスを強める中、これまで手薄とされてきた太平洋側の防空態勢を強化するための措置だ。
中国による海洋進出は年々勢いを増しており、日本周辺における安全保障上のリスクも顕在化している。これに対し日本政府は、従来の南西諸島重視から、より広範な防衛網の整備に舵を切り始めた格好だ。
太平洋の防空「空白地帯」にメス 南鳥島の戦略的価値
南鳥島は、日本の排他的経済水域(EEZ)の東端に位置し、地理的にはハワイと日本本土の中間にあたる。現在は海上自衛隊が駐留しているが、民間人は住んでいないため、施設設置や運用における制約が少ない。そのため、防衛省内では「移動式レーダーの設置が容易」とする声が多く、配備計画が加速している。
防衛省が令和4年12月に策定した防衛力整備計画でも、太平洋離島へのレーダー配備が明記されており、今回の検討はその一環だ。太平洋側では硫黄島を除きレーダー設備がなく、空自の防空網には致命的な「空白」が存在していた。
さらに、南鳥島では陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾による射撃訓練場の整備も計画されており、海空の両面で防衛拠点としての機能が強化されつつある。
中国空母の「第2列島線超え」が現実に 自衛隊幹部「危機感募る」
中国の海軍力の進展は著しい。今月7日には、中国海軍の空母「遼寧」が南鳥島南西の日本EEZ内を航行。さらに空母「山東」も太平洋側に展開し、実戦さながらの訓練を行った。空母2隻が同時に太平洋で作戦行動をとったのは今回が初めてだ。
自衛隊幹部は「中国は明確に太平洋への進出を戦略に組み込んできており、今後さらに活動範囲を拡大するだろう」と危機感を募らせる。とりわけ台湾有事の際、中国は米軍の介入を抑止すべく、グアムや南鳥島を含む太平洋側への軍事行動を強化する可能性が指摘されている。
現在の日本の防衛態勢では、南西方面への対応に重点が置かれており、太平洋側にまで十分な防空体制が敷かれていない。これは戦略上の重大なリスクであり、太平洋側の「背面防御」が整わなければ、中国軍による包囲的な展開を許しかねない。
防衛強化の一方、戦闘機配備やADIZ設定は見送り
一方で、防衛省は南鳥島をはじめとする太平洋島嶼部への戦闘機配備や、新たな防空識別圏(ADIZ)の設定については、現段階で実施しない方針を示している。これは、過度な軍事的緊張の高まりを避けると同時に、地理的・運用的な制約が大きいことも理由にあると見られる。
しかし、空自の警戒監視体制をレーダーによって広範に拡張することは、コストや外交摩擦を最小限に抑えつつ、実質的な防衛力を高める現実的な対応策である。沖縄県の北大東島でも同様に移動式レーダーの整備が進められており、日本周辺を包囲する「レーダー網」の構築が急がれている。
SNS上でも配備支持の声多数 国民の関心も高まる
中国軍の空母行動や南鳥島へのレーダー配備検討については、SNSでも大きな反響が寄せられている。
「レーダー配備は当然。むしろ遅すぎたくらいだ」
「本土ばかり守っても意味がない。太平洋の要所を押さえないと」
「これが現代の“南雲機動部隊”か…歴史は繰り返すね」
「防衛省がようやく現実を見始めた。台湾有事はもう“仮定”じゃない」
「空母2隻出してくる中国に対して、まだ遠慮するのか?」
ネット上では、早急な防衛態勢の整備を求める声が目立つ。特に南鳥島のような要衝は、国家の安全保障の“盲点”となり得る場所であり、その戦略的意義を再認識する意見が多く見られた。
南鳥島配備は防衛の「穴」を塞ぐ第一歩
太平洋側の防衛空白を埋めるための南鳥島レーダー配備は、単なる施設整備にとどまらない。これは日本が防衛戦略を本質的に転換し、中国の海洋膨張に真正面から対応し始めた象徴でもある。
しかし一方で、依然として戦闘機部隊や対空ミサイル、常設部隊の展開は消極的なままである。相手が空母を並べてくる時代に、わが国が「見ているだけ」で済むのか。戦略的思考に基づいた、総合的な防衛力の強化こそが今求められている。