2025-05-31 コメント投稿する ▼
日米豪比防衛相が中国けん制で「かつてない連携」強調 OCEAN構想で多国間協力を制度化へ
中谷防衛相「かつてない結束」 日米豪比、防衛相会談で対中抑止を鮮明に
アジアの安全保障環境が緊迫する中、日本、アメリカ、オーストラリア、フィリピンの4カ国の防衛相が5月31日、シンガポールで会談した。登壇した中谷元防衛相は「日米豪比の連携はかつてない水準に達している」と語り、地域の平和と安定に向けた取り組みを強調した。この発言の背景には、南シナ海や東シナ海での中国の拡張的な行動に対抗する多国間の結束を対外的にアピールしようとする強い意図が見える。
中国の覇権的行動に共同対処の姿勢
4カ国は今年2月、南シナ海で海上共同訓練を実施。中国がフィリピン近海で人工島を軍事拠点化し、豪州の周辺でも軍事演習を強行する中、それぞれが直接的な脅威にさらされている状況だ。日本もまた尖閣諸島を巡って、中国と領海・領空を巡る摩擦が続いており、地理的に異なる4カ国が“共通の敵意識”のもとで動いているのが現状だ。
中谷氏は防衛相会談に先立つ講演で、こうした中国の行動が地域の安定を脅かしていると指摘。「協力こそが抑止力を強化する鍵」と述べ、対中包囲網の必要性を訴えた。
「OCEAN構想」で連携を制度化へ
会談では、「OCEAN(One Cooperative Effort Among Nations)」と呼ばれる新たな枠組みの導入が提案された。これはインド太平洋地域を一つの安全保障空間と見なし、各国の防衛力を横断的に連携させる構想で、従来の「ワンシアター構想」を一歩進めたものだ。特に、敵基地攻撃能力などで米豪と連携を強める日本の戦略と合致する内容となっており、将来的には自衛隊とフィリピン軍との間でレーダー情報のリアルタイム共有も視野に入る。
防衛省関係者は「中国軍の動きがつぶさに把握できれば、抑止力は飛躍的に向上する」と語る。
韓国の不参加、台湾有事での不安残す
今回の4カ国会談には韓国が加わらなかった。昨年11月には日米豪比韓の5カ国で初の防衛相級会談が実現していただけに、今回は後退とも言える状況だ。特に、台湾有事の際には北朝鮮による軍事的な挑発が懸念されるため、朝鮮半島での安定確保には韓国の協力が不可欠とされる。
尹錫悦政権が昨年12月に“非常戒厳”を宣言して以降、日韓の防衛対話は事実上止まったまま。日本政府は6月3日に実施される韓国大統領選の結果を受けて、関係修復に動く構えを見せている。
「多国間主義」維持でトランプ政権に備え
この日米豪比の動きには、来年の米大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領を意識する側面もある。彼の「アメリカ第一主義」により、多国間安全保障の枠組みが弱体化する懸念がある中で、日本や豪州、フィリピンはあらかじめ緊密な連携を築くことで、今後の米外交政策に影響を与えたいとの思惑も透けて見える。
日本の防衛当局者は「誰が米大統領になろうとも、地域連携が継続される仕組みづくりが必要だ」と述べており、アジアにおける戦略的布石が着々と進んでいる。
ネットユーザーの声
「日米豪比の団結は心強い。中国の覇権行動にはこれくらいの連携が必要だ」
「韓国がいないのは残念。台湾有事で役割が問われるはず」
「OCEAN構想はうまいネーミング。海洋国家の連携に期待」
「トランプ対策としても有効だと思う。多国間主義を崩してはいけない」
「中国を名指しで非難したことは評価。これまでの曖昧な態度に終止符を」