2025-04-28 コメント投稿する ▼
中谷防衛相、米海軍長官と会談 日本企業が米艦船整備を担う新体制へ―多国間連携も強化
日米防衛産業協力の強化を確認
中谷元・防衛相は4月28日、米海軍のカルロス・デル・トロ・フィラン長官と防衛省で会談し、日本国内における米軍艦船の共同維持・整備に関する協力推進を確認した。これは、防衛装備品の共同開発・生産、維持整備を促進する「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)」の枠組みの一環であり、両国は艦船整備に関する具体的な作業部会も設置している。日本企業が米艦船の大規模補修を担う仕組み作りが進められており、防衛産業基盤の強化とともに、アジア太平洋地域における抑止力の向上が期待されている。
中国の覇権拡大に対する共同対応
会談の中でフィラン長官は、中国による覇権主義的行動の拡大を強く懸念する姿勢を示した。「平和と主権を重視する全ての国々は、集団防衛に有意義な貢献を果たさなければならない」と語り、日米同盟を基軸とした多国間連携の重要性を訴えた。これに応じる形で中谷氏も「日米に加え、韓国、オーストラリアなどとの連携もさらなる高みに達するよう協力したい」と述べ、多国間の防衛協力強化に意欲を示した。特に、中国の海洋進出や南シナ海での現状変更の試みが続く中、同盟国同士の連携深化は喫緊の課題となっている。
日本企業の防衛産業参加拡大へ
日本企業が米艦船の整備に本格的に関与することで、防衛関連の産業基盤強化にもつながる。これまでは米本土や他国に依存してきた艦船の修理・整備を、日本国内で迅速かつ効果的に実施できれば、米軍の即応態勢の向上に直結する。さらに、防衛装備品のサプライチェーン多角化という米国の戦略にも資するため、今後は日本企業にとって新たなビジネス機会の拡大が見込まれる。政府内では、横須賀や佐世保といった基地周辺の造船所や重工メーカーを中心に体制整備が進められており、国家安全保障と経済安全保障の両立を目指す動きが加速している。
多国間防衛連携の新たな段階へ
今回の中谷・フィラン会談は、日米同盟のみならず、インド太平洋地域全体の防衛連携を強化するための重要な布石となった。今後、韓国やオーストラリア、フィリピンなどの同盟・友好国とも共同訓練や装備品連携の議論が進む見通しだ。日米防衛協力は、単なる二国間の枠を超え、地域全体の安定と平和を支える柱となりつつある。中谷氏は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日本の役割をより一層拡大させる決意をにじませた。
- 中谷防衛相とフィラン米海軍長官が防衛省で会談。
- 日本国内で米艦船の整備・補修を担う仕組み作りを推進。
- 中国の覇権主義的行動に共同で対抗する方針を確認。
- 日米に加え、韓国・豪州との多国間連携をさらに強化。
- 日本企業の防衛産業への参加促進と経済安全保障強化へ。