2025-04-22 コメント投稿する ▼
中谷防衛相「牛島司令官の辞世は平和願う歌」発言に波紋 沖縄返還時の訓示を根拠に主張
中谷防衛相の辞世の句解釈とその背景
中谷防衛相は、牛島満中将の辞世の句「御国の春によみがえらなん」を「先の大戦において犠牲になった方々に心からの哀悼の意を表し、その教訓を生かしてこれからの平和をしっかりと願うという歌」と解釈した。この発言に対し、沖縄戦研究者らは「歴史修正主義だ」と批判している。牛島中将は沖縄戦での撤退判断により多くの住民を戦争の犠牲にした責任者とされており、その辞世の句を肯定的に捉えることは、戦争の悲惨さを軽視するものと受け取られている。
桑江群長の訓示との関連性
中谷氏は、自身の解釈の根拠として、1972年の沖縄返還時に陸上自衛隊臨時第1混成群の桑江良逢群長が述べた訓示を挙げた。桑江群長の訓示には「沖縄の発展や県民の平和な明るい生活、福祉の向上に寄与したいとの決意」が示されており、中谷氏はこれを踏まえて「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と述べた。しかし、この訓示と牛島中将の辞世の句を関連付けることには疑問の声も上がっている。
専門家や市民団体の反応
防衛ジャーナリストの半田滋氏は、牛島中将の辞世の句について「敗色が濃厚となった沖縄の臣民は、大日本帝国のためにまた立ち上がってほしい」と解釈できると述べ、中谷氏の解釈を「明らかに戦争継続願望」と批判している。また、沖縄平和運動センターなどの市民団体は、陸上自衛隊第15旅団のホームページに掲載されている辞世の句の削除を求めている。これに対し、防衛省は「歴史的事実を示す資料であり、第32軍を美化しているものではない」として削除を否定している。
文民統制と防衛相の資質
中谷氏は陸上自衛官としての経歴を持ち、その視点から辞世の句を解釈した可能性が指摘されている。しかし、文民統制の観点から、防衛相としての発言が適切であったか疑問視する声もある。政府の一員として、戦争の悲惨さを正しく認識し、平和主義を堅持する姿勢が求められている。
- 中谷防衛相は、牛島満中将の辞世の句を「平和を願う歌」と解釈し、適切と主張。
- その根拠として、1972年の沖縄返還時の桑江良逢群長の訓示を挙げた。
- 専門家や市民団体は、中谷氏の解釈を「歴史修正主義」と批判し、辞世の句の削除を求めている。
- 防衛省は、辞世の句の掲載を「歴史的事実を示す資料」として削除を否定。