2025-04-08 コメント投稿する ▼
NATO支援組織に日本が関与へ ウクライナ訓練・装備支援に協力方針
NSATUはドイツのヴィースバーデンに司令部を置き、ウクライナ軍への装備供与や訓練支援、整備活動などを調整・実施する役割を担う。日本がこの枠組みに加われば、武器の供与こそ行わないものの、ノウハウの共有や情報提供といった形での貢献が期待される。
中谷氏は会談冒頭、「ロシアのウクライナ侵略から得られる教訓を分析する意味でも、日本がこの支援組織に関与することは大変意義がある」と強調した。その上で、「我々を取り巻く安全保障環境も厳しさを増しており、ヨーロッパとアジアが連携を深めていくことが不可欠だ」と語った。
欧州とアジアの安全保障は不可分
ルッテ事務総長も、中国や北朝鮮、ロシアによる最近の軍事行動に触れ、「世界の安定を脅かす要因が増している」と指摘。「欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せない」との認識を示し、日本による防衛費の増額や自衛隊の体制強化を歓迎した。
会談では、防衛政策の相互理解を深めるための制度「国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」に基づき、宇宙・サイバー空間・偽情報対策といった新たな領域での連携強化についても確認した。特にサイバー分野では、日本が2023年に立ち上げた「サイバー防衛隊」などの知見がNATOにとっても重要になるとの見方がある。
日本の防衛外交の転換点に
今回のNSATU参加は、これまで「非軍事支援」に重きを置いてきた日本のウクライナ政策において、一つの転換点となる可能性がある。兵站や訓練支援といった“軍事に準ずる分野”での連携を通じ、国際安全保障への関与をより深める姿勢が明確になった。
中谷氏は会談後、「日本がこのような枠組みに参加することで、インド太平洋地域と欧州の連携がより密になる。NATOとの関係も質的に変化していく」と記者団に語った。
NATO側も、アジア太平洋地域のパートナーとして日本を重視しており、今後はオーストラリア、韓国、ニュージーランドなどとの連携強化も含めた広域的な枠組みの検討が進んでいく可能性がある。
- 防衛省がNATOのウクライナ支援組織(NSATU)への参加を表明
- 組織は装備供与や訓練支援などを担う、司令部はドイツに設置
- 中谷氏「侵略の教訓を共有する意味でも重要」と説明
- ルッテ事務総長「欧州とアジアの安全保障は不可分」と強調
- ITPPに基づき宇宙・サイバー・偽情報対策でも連携推進
- 今後の日本の防衛外交にとって重要な節目
今後、日本の関与がどのような形で具体化するのか、またそれが日米同盟やインド太平洋地域の安全保障にどのような影響を与えるのかが注目される。国際社会の中で日本が果たすべき役割は、着実に広がりつつある。