2025-11-11 コメント投稿する ▼
N党斉藤議員が自民会派解消表明、立花党首逮捕で急転換、政治停滞回避が理由
わずか前日の記者会見では会派維持を明言していた斉藤議員の急転直下の判断は、政治的な風向きの変化を象徴している。 斉藤議員は11月10日の記者会見で立花容疑者の逮捕について問われた際、「結論から申し上げますと、何もありません」と断言していた。 立花容疑者の逮捕は2025年11月9日、兵庫県警により実行された。
前日の強気発言から一転、急転換の判断
斉藤議員は11月10日の記者会見で立花容疑者の逮捕について問われた際、「結論から申し上げますと、何もありません」と断言していた。「あくまでも私は国会活動の方は無所属としてやらせていただいている。そして、無所属で自民党会派と組ませていただいているという形なので、全くこれに対する国会への影響はない」と説明し、会派維持の意向を明確に示していた。
高市早苗首相も同日の衆院予算委員会で「自民党は、参院において無所属の斉藤健一郎議員と統一会派を組んでいる」と答弁し、N党との統一会派ではないとの認識を示していた。政府側は斉藤議員を無所属議員として扱うことで、立花容疑者の逮捕との距離を置こうとする姿勢を見せていた。
しかし、翌11日になると斉藤議員の判断は180度変わった。Xでの投稿では、自民党の石井準一参院幹事長から会派解消の了承を得たとしており、政治的な判断の早さが際立った。
立花容疑者逮捕が与えた政治的衝撃
立花容疑者の逮捕は2025年11月9日、兵庫県警により実行された。容疑は2025年1月に死亡した元兵庫県議・竹内英明氏に関する虚偽の情報をSNSなどで発信したとする名誉毀損罪だった。
立花容疑者は2024年11月の兵庫県知事選において、斎藤元彦知事を応援する「2馬力選挙」を展開していた。その過程で、斎藤知事の告発文書問題を調査した県議会の調査特別委員会委員だった竹内元県議について、「犯罪の嫌疑が掛けられている」「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと繰り返し発信していた。
竹内氏は知事選後に命を絶ち、遺族が立花容疑者の発信内容は虚偽だとして刑事告訴していた。立花容疑者の発言は「お亡くなりになっても自業自得」など極めて問題のあるものも含まれており、兵庫県警の取り調べで立花容疑者自身も「発言したことは間違いない」と供述している。
「立花党首の逮捕でN党の信頼性が完全に失われた」
「斉藤議員の判断転換は遅すぎる。もっと早く距離を置くべきだった」
「自民党もN党との会派結成は明らかに失策だった」
「政治の停滞を避けるためと言うが、そもそも問題のある政党と組んだのが間違い」
「高市首相にとってもN党問題は重荷だっただろう」
自民党の参院多数派工作の破綻
自民党がN党の斉藤議員を参院会派に迎え入れたのは、2025年10月15日のことだった。7月の参院選で衆院に続き参院でも少数与党に転落し、10月には公明党が連立与党を離脱したことを受け、参院での多数派工作の一環として実現した取り組みだった。
この会派結成により、参院の自民党会派「自由民主党」は「自民党・無所属の会」に名称変更され、勢力は101議席となった。N党は参院議員が斉藤議員1人のため単独では会派を作れず、斉藤議員は実質的に無所属で活動していた状況からの転換だった。
しかし、この政治的判断は当初から問題視されていた。N党を巡っては立花容疑者の度重なる問題行動が指摘されており、2024年の東京都知事選ではポスターの掲示場の枠を事実上「販売」し、候補者と無関係のポスターが大量に貼り出されるなどの問題も発生していた。
自民党兵庫県連からは斉藤議員の会派入りに対して抗議の声が上がっており、党内でも慎重論があった。それでも参院での数の確保を優先した結果が、今回の混乱につながった形となった。
政治理念よりも数の論理を優先した結果
今回の一連の経緯は、現在の日本政治が抱える構造的な問題を浮き彫りにしている。政治理念や価値観の共有よりも、国会での数の確保を優先する「数の論理」が支配的になっていることだ。
斉藤議員は元々堀江貴文氏の秘書や運転手を務めており、2020年から政治家を目指していた。都知事選や衆院選で相次ぎ落選した後、2022年の参院選でN党から比例代表で当選を果たしていた。同議員は以前から「自民党入りを熱望していた」と公言しており、今回の会派入りは念願の実現だった。
しかし、わずか1か月足らずで会派解消に至った経緯は、政治的な理念や政策的な一致よりも、その時々の政治情勢に左右される不安定さを示している。斉藤議員は会派入り時に「自民党の船に乗らせていただきました」と表現していたが、その船は思いのほか早く沈没することになった。
自民党側も、N党の問題体質を十分に把握しながら、参院での議席確保を優先した判断の甘さが露呈した。立花容疑者の過去の言動や法的問題については既に広く知られており、今回の逮捕は予見可能な事態だったと言えるだろう。
高市政権にとっては、発足直後から政治的な火種を抱えることになり、政権運営への影響も懸念される。政治の停滞を避けるために会派解消を決断したとする斉藤議員だが、そもそも問題のある政治団体との連携が政治不信を招いた側面は否定できない。
この問題は、政党政治の在り方や政治家の責任について、改めて国民に問いかけている。数の論理に偏重した政治運営ではなく、政治理念と政策に基づいた真摯な政治姿勢が求められている。