2025-05-20 コメント投稿する ▼
海藻でCO₂を吸収し深海に貯留へ 環境省とENEOSが挑むブルーカーボン技術とは
海藻がCO₂を吸収して海底に貯める?新たな温暖化対策に環境省とENEOSが挑戦
二酸化炭素(CO₂)の吸収源を“海藻”に求める試みが始まろうとしている。環境省は、光合成でCO₂を取り込む海藻を活用し、その炭素を深海に沈めて封じ込めるという新たな取り組みを進めるため、大手エネルギー企業のENEOSに調査を委託した。この動きは、温暖化対策として注目される「ブルーカーボン」の可能性を本格的に探るものだ。
海藻の力でCO₂削減を目指す
環境省が掲げる今回の調査の狙いは、海藻類を利用してCO₂を吸収し、それを自然のプロセスを通じて深海に沈めて蓄積するという新技術の実用性を確かめることにある。調査には、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と港湾空港技術研究所が共同で参加し、海上で育てた海藻がどのようにCO₂を取り込み、それがどのような形で深海へ運ばれていくのかを調べる。
浅尾慶一郎環境相は、「この調査をきっかけに、海の中に大規模な藻場をつくり、CO₂吸収源として活用できる道を切り開きたい」と語った。日本ではCO₂吸収の多くを森林が担っているが、限られた土地資源の中では海という選択肢に注目が集まっている。
ブルーカーボンって何? 海の中にも“炭素の貯金箱”がある
ブルーカーボンとは、海の植物(海藻や海草など)が光合成によって吸収した炭素を指す。吸収された炭素は海中に沈み、長期間にわたって封じ込められることで、地球の大気中に放出されるCO₂の増加を抑える効果がある。国の温暖化対策計画でも、このブルーカーボンの活用が明記されており、森林と並ぶ新たな“炭素の貯金箱”として期待されている。
調査では、海藻の沈降の仕組みや、深海環境でどれだけ長く炭素が保持されるのか、さらには周囲の海洋生態系への影響も含めて多角的に分析する予定だ。
ENEOSが海藻で脱炭素社会を加速
今回の調査を請け負うENEOSは、これまでも海藻や海草の再生プロジェクトに取り組んでおり、実績を持つ企業だ。同社は「2050年カーボンニュートラル」の実現を掲げ、ブルーカーボンのクレジット化や地域連携による藻場の拡大にも力を入れてきた。企業活動の一環としてだけでなく、社会全体の脱炭素に向けた新たな技術モデルの構築を視野に入れている。
具体的な調査の場所やスケジュールについては現在調整中だが、技術が実用化されれば、CO₂排出削減だけでなく、海洋環境の再生にもつながると期待されている。
ネットの声:期待と慎重論が交錯
「海藻でCO₂を閉じ込めるなんて発想が面白い。日本らしいアプローチだね」
「ENEOSがこんな環境分野にも取り組むとは、ちょっと見直した」
「ブルーカーボンって本当に効果あるの?深海に沈めた後の影響も気になる」
「森林に頼りきりだった吸収策に代わる選択肢としてはいいと思う」
「こういう地道な研究が未来を救うのかもしれないね」
* 環境省がENEOSにCO₂の海中吸収・貯留の調査を委託。
* 海藻を使ってCO₂を取り込み、深海に沈めて閉じ込める「ブルーカーボン」技術の可能性を探る。
* JAMSTECら研究機関も協力し、環境や生態系への影響も調査。
* ENEOSは脱炭素社会に向け、実用化を視野に技術開発を進行中。
この調査は、森林偏重の日本のCO₂対策に新たな方向性を示すものであり、今後の環境政策に大きな影響を与えるかもしれない。海という“未開拓の吸収源”が、温暖化対策の切り札となる日が来るかもしれない。