2025-04-03 コメント投稿する ▼
「報復関税は正直難しい」 武藤経産相、米相互関税に冷静対応強調
武藤氏は率直に、「正直言って(報復関税は)難しい」と語り、慎重な立場をにじませた。「あらゆる選択肢を検討するが、最も効果的な方法を冷静に判断していきたい」と述べ、感情的な応酬ではなく、冷静な対応を取る考えを示した。
協議の中で見せた米側の強硬姿勢
関税発表の数時間前、武藤氏はラトニック米商務長官とオンラインで協議を行っていたという。しかし、その場で日本に24%の関税を課すという具体的な説明は一切なかった。ラトニック氏は、「数時間後に発表されるので、よく見ておいてほしい」とだけ告げたという。
この発言からも分かるように、米側は日本との協議というより、一方的な通告に近いスタンスだったようだ。ラトニック氏は「日本のこれまでの貢献は理解している」としつつも、「新しいアメリカをつくる中で必要な措置だ」と強調したという。
関税政策の中身と日本への影響
今回発表された「相互関税」は、アメリカが他国から受けている関税の高さに応じて、同等の関税をかけ返すというもの。トランプ政権の掲げる「アメリカ第一」の政策の一環であり、経済ナショナリズムが色濃くにじむ内容だ。
- 基本税率は一律10%。
- 対日輸入品には24%の関税。
- 中国に対しては34%、EUには20%、ベトナムは46%と国別で差をつけている。
- ただし、自動車や鉄鋼・アルミなど一部重要品目は対象外。
日本にとっては、特に機械部品や半導体関連など、アメリカへの輸出に大きく依存している産業への影響が避けられない。中小企業を含め、波紋は広がりそうだ。
政府の対応は? WTO提訴や産業支援も視野
武藤経産相は、「この措置がWTOのルールに適合しているか、深刻な懸念がある」と述べ、今後国際的な法的対応も視野に入れていると示唆した。
経済産業省では、関税の影響を受ける企業や産業に対する支援策の検討を始めており、関係省庁によるタスクフォースの設置も検討中だという。
また、自民党内でも対米交渉を重視する声が高まりつつあり、与党内での調整も加速しそうだ。現時点で日本が米国に対して即座に報復措置を取ることはなさそうだが、情勢の変化次第では態度を硬化させる可能性もある。
今後の焦点
- アメリカの関税方針が国際的にどう受け止められるか。
- 日本の経済界や政界がどこまで踏み込んだ対応をとるのか。
- WTOへの提訴を含めた国際的な連携の動きが出てくるのか。
今回のトランプ政権による強硬な経済政策は、日米経済関係にとって大きな試練となる。日本政府がどこまで冷静かつ実効性のある対応を取れるかが問われている。