2025-08-25 コメント投稿する ▼
国民健康保険2023年度赤字1803億円 団塊世代移行で収入減、制度の限界鮮明に
国民健康保険が3年連続赤字 2023年度は1803億円、団塊世代の制度移行が影響
厚生労働省は25日、2023年度の国民健康保険(国保)の実質的な収支が全国で1803億円の赤字となったと発表した。赤字は3年連続で、額は前年度比736億円増と拡大した。背景には団塊世代の一部が75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度に移行し、国保の加入者が減少したことがある。
国保は自営業者や無職の人が主に加入する制度だが、人口減少や高齢化によって加入者の減少と財政の悪化が続いている。厚労省の発表によれば、2023年度の加入者数は104万人減少し、2309万人となった。保険料収入は23兆3876億円で前年度比0.6%減、給付費などの支出は23兆5164億円で0.5%減。差し引きした実質赤字が1803億円に達した。
都道府県別の納付率と地域差
保険料の納付率は全国平均で94.20%と前年度比0.06ポイント改善した。最も高かったのは島根県の96.77%で、大分県(96.34%)、佐賀県(96.19%)が続く。最も低いのは東京都で91.52%にとどまった。
納付率の高い県では住民の制度理解や徴収体制の充実が寄与しているとされる一方、都市部では所得格差や人口の流動性の高さから納付率が低迷している。国保財政の改善には地域ごとの事情を踏まえた対策が不可欠といえる。
後期高齢者医療制度は3490億円黒字
一方で、団塊世代の一部が移行した後期高齢者医療制度は3490億円の黒字となった。加入者は64万人増の1989万人、給付費は17兆3367億円で5.2%増加。国保の赤字が拡大する一方で、後期高齢者制度は黒字を確保しており、制度間の財政バランスが鮮明になった。
しかし、黒字の背景には現役世代からの支援金が大きな割合を占めており、将来的には高齢者のさらなる増加に伴い持続可能性が課題となる。国全体での医療費負担の在り方が根本的に問われている。
国保赤字が示す制度の限界
国保の赤字拡大は、制度の構造的な問題を浮き彫りにしている。もともと国保は自営業や非正規雇用者など、比較的所得が低い層の加入割合が高い。そこに高齢化による医療費の増大が加わり、財政基盤は脆弱化している。
ネット上では次のような意見が寄せられている。
「国保は制度疲労を起こしている。抜本的改革が必要」
「赤字でも結局は税金で穴埋め。国民負担ばかり増える」
「後期高齢者制度が黒字なのに国保が赤字、制度の歪みだ」
「減税をしないまま医療費負担だけ増えるのは納得できない」
「政治家は票欲しさに高齢者優遇ばかりで若者が割を食っている」
国保財政を健全化するには、単なる繰入金や一時的補助ではなく、減税を含めた負担軽減と制度改革が不可欠だ。
国民健康保険赤字1803億円が示す医療制度の危機
2023年度の国民健康保険の赤字1803億円は、少子高齢化と人口減少が進む日本における医療制度の危機を象徴している。後期高齢者医療制度が黒字を確保している一方で、現役世代や低所得者が多い国保の赤字が膨らむ構図は「世代間の不均衡」を如実に示している。
石破政権が直面する課題は、単なる医療財政の調整にとどまらない。国民の生活を守るため、減税による負担軽減とともに、持続可能な医療制度の改革を早急に進める必要がある。