2025-08-20 コメント投稿する ▼
厚労省「介護情報基盤ポータルサイト」開設 助成金で事業所支援 デジタル化の試金石に
厚生労働省は20日、介護保険に関わる情報を集約した新しい「介護情報基盤ポータルサイト」を開設したと発表した。 今回整備された介護情報基盤は、介護保険証、要介護認定、主治医意見書、ケアプランなどのデータを、利用者・事業所・医療機関・自治体がオンラインで共有できる新たなインフラとなる。 ポータルサイトでは、介護事業所・施設の環境整備を支援する助成制度の概要も紹介された。
厚労省が「介護情報基盤ポータルサイト」を開設
厚生労働省は20日、介護保険に関わる情報を集約した新しい「介護情報基盤ポータルサイト」を開設したと発表した。全国の事業所・施設、自治体、関係団体が必要な資料や最新情報をワンストップで確認できる仕組みで、制度導入に伴う環境整備の助成金についても周知が始まっている。
分散情報を一元化する介護情報基盤
今回整備された介護情報基盤は、介護保険証、要介護認定、主治医意見書、ケアプランなどのデータを、利用者・事業所・医療機関・自治体がオンラインで共有できる新たなインフラとなる。厚労省は「これまでバラバラに存在していた情報をデジタルの力で集約し、介護に関わる人をつなぐ場とする。現場負担の軽減や市町村からの支援の円滑化につながる」と説明している。
情報が分散していたこれまでの仕組みでは、事業所が利用者や家族に迅速な対応をするのに時間がかかることが多く、現場負担が増していた。ポータルサイトを介することで必要な情報が統合的に得られ、ケアの効率化に大きな効果が期待される。
助成金制度の概要
ポータルサイトでは、介護事業所・施設の環境整備を支援する助成制度の概要も紹介された。カードリーダーの購入や接続のためのサポートなどが対象で、介護サービス類型ごとに助成額の上限が定められている。
具体的には、訪問・通所・短期入所系サービスでは6.4万円、居住・入所系は5.5万円、その他サービスは4.2万円が限度額とされる。これにより、多くの事業所が導入初期の負担を軽減しながら情報基盤にアクセスできる見通しだ。
厚労省関係者は「支援策の詳細は申請受付開始時に実施要綱とともに通知する」と述べており、開始時期は明言しなかったが「速やかに事業所・施設を支援できるよう尽力する」と強調した。
「こういうサイトがあれば現場での情報共有がかなり楽になる」
「助成金があるなら導入しやすいけれど、金額が十分かどうかが気になる」
「高齢化が進む中で、デジタル化の遅れをようやく解消する動きだ」
「市町村レベルでもっと丁寧に説明会をやってほしい」
「申請が複雑だと結局現場の負担になるのではないか」
過去施策と比較される介護デジタル化
日本ではこれまでもマイナンバー制度や電子カルテの導入など、医療・介護分野のデジタル化が段階的に進められてきた。しかし、制度ごとにシステムが異なり、利用者や家族にとっては「同じ情報を何度も提出させられる」ことが課題となってきた。今回のポータルサイトは、その不便を解消し、行政・医療・介護を一体化する役割を担う点で大きな前進といえる。
一方、北欧諸国ではすでに医療と介護のデータベースを統合し、住民がオンラインで自身のケア情報を確認できる仕組みが整っている。日本は人口高齢化率で世界の先頭を走るにもかかわらず、情報基盤整備では遅れをとってきた経緯があり、今回の動きはその「追いつき策」とも位置付けられる。
介護現場に広がる期待と不安
介護職員不足が続く中で、業務の効率化は急務だ。特にケアプラン作成や給付管理といった書類業務は膨大で、現場では「介護よりも事務作業の方に時間を取られる」との声も少なくない。ポータルサイトによる情報一元化が進めば、こうした事務負担が軽減し、介護の質向上に資する可能性がある。
しかし、制度導入には現場のデジタル対応力が問われる。高齢の職員や小規模事業所ではIT環境が整っていないことも多く、助成金の額だけでは不十分との懸念も出ている。また、セキュリティ確保や個人情報保護の徹底も不可欠で、運用開始後にトラブルが起きれば制度そのものへの信頼が揺らぎかねない。
厚労省が開設した介護情報基盤ポータルサイトは、介護分野のデジタル化を進める大きな節目となる。情報の分散を解消し、助成制度で導入を後押しする取り組みは期待を集める一方で、現場の受け入れ体制やセキュリティなど課題も山積している。少子高齢社会に直面する日本にとって、この仕組みが定着できるかどうかは、今後の介護サービスの持続性を左右する試金石になるだろう。