2025-08-19 コメント投稿する ▼
生活保護基準引き下げ「違法」判決で共産党が厚労省に申し入れ 謝罪と遡及支給求める
「いのちのとりで裁判」判決を受けた共産党の申し入れ
生活保護基準の引き下げをめぐる「いのちのとりで裁判」で、最高裁判所が国の違法性を認め減額処分を取り消した判決を受け、日本共産党国会議員団は19日、石破茂首相と福岡資麿厚労相に対して要請書を提出した。要請は厚労省に対し、利用者への謝罪と差額の遡及支給などを求めるものである。
最高裁は6月27日、2013年から3回に分けて実施された平均6.5%、最大10%(年間670億円削減)の生活保護費引き下げについて「個人の尊厳」(憲法13条)、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)を侵害する違法行為と断罪した。
「最高裁で違法とされたのに、なぜ謝罪も補償もないのか」
「生活保護は命綱。引き下げで苦しんだ人への対応が急務だ」
「差額の遡及支給を行わなければ不公正は解消しない」
「国は責任を認め、利用者の信頼を回復すべき」
「同じ過ちを繰り返さないための検証が不可欠だ」
共産党の要請内容
議員団が示した申し入れの骨子は次の通りである。
1. 原告および保護費の引き下げで影響を受けたすべての生活保護利用者に対し、国がただちに謝罪すること。
2. 専門家委員会の議論を理由に回復を先延ばしせず、速やかに被害回復を実行し、全国で係争中の訴訟を早期に終結させること。
3. 2013年以降現在までに影響を受けた生活保護利用者に対する被害回復を進めること。
4. 違法とされた基準設定の経過を、原告や弁護団、当事者を含めた形で検証すること。
国の対応の遅れ
判決から2カ月近く経つが、国は謝罪も補償も行っていない。厚労省は「専門家委員会で審議中」と説明しているが、議員団は「被害回復を引き延ばす理由にはならない」と批判している。国の遅れは生活保護利用者の不安を拡大させ、信頼を大きく損なっている。
今後の課題
今回の最高裁判決は、生活保護行政の在り方を根本から問うものだ。国民の最低限度の生活を守る制度を、恣意的な財政削減のために歪めてはならない。厚労省が実際に遡及支給や謝罪を実施できるかどうかが、国の人権意識と責任感を示す試金石となる。