2025-07-30 コメント投稿する ▼
居宅介護支援の事業所数が7年連続で減少 ケアマネ不足と人材流出が深刻に
居宅介護支援の事業所数、7年連続で減少 ケアマネ不足と人材流出が深刻化
3万5943ヵ所に減少 ピークから4000超減り2013年水準へ
厚生労働省が7月30日に公表した最新統計によると、今年4月審査分における全国の居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)の請求件数は3万5943ヵ所で、前年から516ヵ所(1.4%)減少した。これで7年連続のマイナスとなり、事業所数は2013年以来の水準まで落ち込んだ。
2018年のピーク時には4万67ヵ所あったが、そこから4122ヵ所、率にして10.3%も減少したことになる。高齢化が進む中で本来ニーズは高まっているにもかかわらず、事業所数が減少傾向を続けている現状は、地域の介護体制にとって大きな警鐘と言える。
「うちの市も最近ケアマネ不足。探すのが一苦労」
「事業所は減ってるのに、高齢者は増える。矛盾してる」
「ケアマネのなり手がいないのに制度ばかり複雑化」
「結局、担い手の人件費を削ってきたツケが回ってる」
「報酬も労働環境も厳しいままじゃ、人が続かないのは当然」
SNSでは、実際にケアマネジャーや利用者の家族から不安の声が多く寄せられており、「制度疲労」ともいえる現場のひずみが浮き彫りになっている。
ケアマネジャー不足が最大の要因 主任ケアマネ確保に苦戦
今回の事業所減少の大きな背景には、ケアマネジャーの人材難がある。特に、事業所の管理者を担う「主任ケアマネジャー」の資格者が不足しており、新たな事業所の立ち上げが困難になっている。
加えて、既存事業所でも主力のケアマネが離職するタイミングで廃業や撤退を決めるケースが相次いでおり、人材の確保と定着が大きな課題となっている。
ケアマネ業務は書類作成や制度対応が複雑で、利用者や家族とのコミュニケーションも求められる高負荷な職種。にもかかわらず報酬が上がりにくく、他業種に比べて人材確保が難しい構造的な問題がある。
国の支援で「大規模化」も進行 地域格差の懸念
一方、介護報酬上の特定事業所加算の拡充や、指導体制の整備を進める国の支援策により、既存事業所の「中規模化・大規模化」が進みつつある。これにより、複数の小規模事業所を統合する動きも一部で出ており、効率化や人材シェアによる運営の安定化が図られている面もある。
ただし、この流れは都市部や一定の資本力を持つ法人に限られる傾向が強く、過疎地域や小規模自治体では「統合される事業所すらない」といった“地域格差”のリスクも高まっている。
都市部では事業所の集約によって一定の体制維持が可能でも、地方では「1ヵ所の撤退が地域全体のサービス空白につながる」深刻な状況が起きかねない。
介護のインフラ崩壊を防げるか 制度改革と人材戦略が鍵
高齢者人口は今後さらに増加し、居宅介護支援の需要は確実に高まる。一方で、供給側であるケアマネ事業所の数が減り続ければ、利用者の“入り口”となるケアプランの作成が滞り、地域の介護インフラそのものが機能不全に陥る危険性がある。
厚労省は次期介護報酬改定や制度見直しにおいて、ケアマネジャーの待遇改善や業務負担の軽減策を打ち出す必要がある。また、若手人材の育成と定着支援を一体的に行う地域連携のモデルケースの拡充も求められている。
介護は高齢社会を支える基盤だ。その第一線で働く人々が、報われる仕組みになっているか。数字の減少にとどまらない現場の声を、政策にどう反映させるかが今、問われている。