2025-07-29 コメント投稿する ▼
百日せきが過去最多を更新 インバウンドによる感染症持ち込みが拡大要因に
百日せき患者数が過去最多を更新 インバウンドが感染拡大の一因に
日本全国で百日せき(百日咳)の患者数が急増している。国立健康危機管理研究機構(JIHS)が発表した最新データによると、7月20日までの1週間に報告された患者数は3908人。前週の3682人をさらに上回り、5週連続で過去最多を更新した。2025年に入ってからの累計はすでに5万2000人を超え、事態は深刻さを増している。
東京・埼玉・神奈川に集中 都市部での感染拡大
都道府県別では、東京が310人で最多、続いて埼玉240人、神奈川204人と、いずれも訪日外国人観光客が多く集まる都市部に集中している。厚生労働省は、「百日せきは乳児が感染すると命に関わる恐れがある」として、国民に警戒を呼びかけている。
百日せきは「百日咳菌」によって引き起こされる感染症で、特に新生児にとっては重症化リスクが高く、呼吸困難やけいれんなどを引き起こすこともある。感染初期は軽い風邪のような症状にとどまるため、気付かずに周囲に広げてしまうケースも多い。
中国など東アジアの流行が国内に波及
感染拡大の背景には、東アジア地域での百日せきの大流行がある。特に中国では、2023年に4万件超、2024年初頭には5〜9万件の症例が報告されており、韓国でも類似の大規模流行が確認されている。
こうした状況のなか、日本への渡航者数が急増したことで、東アジア由来の百日咳菌がインバウンド(訪日外国人)によって持ち込まれた可能性がある。専門家や医療機関の報告では、国内でマクロライド耐性百日咳菌(MRBP)が確認されており、その一部が海外起源であるとみられている。
「インバウンド感染症」の時代へ
訪日外国人の急増は観光産業にとっては追い風となっているが、同時に感染症の“逆輸入”リスクも高めている。実際、CBCテレビや医療機関の報告では、中国などで流行している百日せきが日本に持ち込まれたことで、インバウンドが感染拡大の一因となっているとの指摘がある。
「中国での大流行と日本の感染急増は無関係ではない」
「免疫の低下は要因の一つだが、菌を持ち込む人の流れを無視できない」
「空港検疫や医療体制の強化が求められる段階に来ている」
百日せきに限らず、麻疹(はしか)や水痘など、他の感染症についても同様の懸念が広がっており、インバウンド対応の見直しが急務となっている。
感染症対策と観光の両立をどう図るか
これまで、日本での百日せき拡大については「ワクチン免疫の減衰」「コロナ対策の緩和」などが主因とされてきた。だが、2024年以降の急激な増加を説明するには、訪日外国人との接触による持ち込み感染という視点を避けては通れない。
インバウンドにより経済が潤う一方で、感染症の持ち込みに対する検疫体制は十分とは言えない。空港での健康チェックや情報提供の徹底、感染が疑われる地域からの旅行者へのモニタリング強化など、具体的な対策が必要だ。
今後、医療体制の整備とともに、観光政策全体の見直しと「安全と開かれた国境」の両立をどう図るかが、日本の課題となる。百日せきの流行は、その危機を私たちに突きつけている。