社会保障教育を学校で──厚労白書「世代をつなぐ」持続可能性への第一歩

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社会保障教育を学校で──厚労白書「世代をつなぐ」持続可能性への第一歩

社会保障の未来に若者の理解を──厚労白書が教育現場との連携を提言


厚生労働省が発表した2025年版の厚生労働白書が29日、閣議で報告された。今回の白書では、少子高齢化と人口減少が進む日本において、持続可能な社会保障制度を構築するためには、若年層に対する制度理解の促進が不可欠だとして、学校教育との連携を強化する必要性が強調された。

白書は、「すべての世代で社会保障を支え、社会保障はすべての世代を支える」という理念を掲げ、世代間の分断や対立を防ぐためにも、共通の認識の醸成が欠かせないと指摘している。世代間の協力なしには、今後の日本の社会保障制度は立ち行かないという危機感が背景にある。

高校生の理解度、授業経験で大きな差


白書には、高校生3000人を対象に行われたアンケート調査の結果も掲載された。調査によると、「社会保障制度が社会全体の支え合いであることを知っている」と答えたのは53%。さらに、「授業で社会保障制度について学んだことがある」と回答した高校生は65%にのぼった。

そのうち、「支え合いの仕組みである」と答えた割合は63%に達しており、学校での教育が理解の促進に寄与していることが裏付けられた。一方、「授業で習ったことがない」と答えた生徒では、「知っている」と答えたのは43%にとどまり、明確な差が表れた。

この結果を踏まえ、白書では「教育現場での取り組みの有無が、制度理解の差を生んでいる」と分析。将来の納税者・支え手となる若年層の意識醸成には、制度を“自分ごと”として理解できる教育が鍵になるとして、文部科学省や地方自治体との連携を求めている。

制度の持続可能性は“理解”から始まる


高齢者を支える年金、医療、介護といった社会保障制度は、今後の財政状況や人口動態によって大きく揺らぐ可能性がある。現役世代や若年層の負担増が懸念される中で、「なぜ支える必要があるのか」「どうすれば制度が持続可能になるのか」という疑問に対し、明確に応える教育の必要性が高まっている。

一方で、政府のこれまでの取り組みが「制度を押しつけるだけ」「負担増の説明が不足している」といった批判も根強く、単なる知識の伝達にとどまらない、双方向の学びが求められている。

有権者の声も、こうした背景を映し出している。

「将来の負担を押しつける前に、ちゃんと説明してくれないと納得できない」
「高校で社会保障なんて一切習った記憶がない。それで“支え合い”って言われても…」
「大人になってから急に“払え”じゃなく、早いうちからちゃんと学ばせて」
「選挙権は18歳から。でも社会保障の話は大人向けばかり」
「教科書の一部にするだけじゃなくて、現実に近い事例で教えてほしい」

こうした声を受け、白書では単なる制度解説ではなく、「なぜ社会保障が必要か」「それぞれの世代にどのような影響があるか」を体感的に学べるような教育の実践を求めている。

今こそ“世代をつなぐ”教育を


教育現場との連携について、厚生労働省は今後、教員向けの教材開発や、出前授業、自治体との連携によるモデル校の設置などを検討している。背景には、若年層の“無関心”や“制度疲れ”が深刻化しているという現実がある。

社会保障制度は、単なるお金のやりとりではない。命を守り、生活を支える土台であり、だからこそ「制度に参加する意識」「支え合う当事者意識」が重要になる。白書が打ち出した“教育との連携”は、その第一歩と言える。

だが、その本気度が問われるのは、今後の実践と成果にある。教室での一時間ではなく、地域全体で子どもたちに「社会の一員としての責任と権利」を伝えていく社会づくりが求められている。

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2025-07-29 11:12:19(うみ)

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