2025-06-12 コメント投稿する ▼
厚労省委託事業で4000万円詐取 元コンサル社長ら逮捕 10億円還流の実態も
厚労省委託事業で4000万円詐取の疑い コンサル元社長を逮捕 「ペーパーカンパニー経由」で水増し
厚生労働省が実施するキャリア支援事業において、実績を水増しして委託費の返還を免れていたとして、コンサルティング会社「ランゲート」(本社・京都市)の元社長・大中忠生容疑者(63)らが詐欺容疑で警視庁に逮捕された。この事件では、大中容疑者が作らせた“ペーパーカンパニー”を通じ、印刷費などの経費を不正にかさ増ししたうえ、総額10億円にのぼる資金が別会社へと流れていた疑いが持たれている。
概算払い制度を悪用 “見せかけ”の取引で金を還流
警視庁捜査2課によると、問題となったのは2021年に厚労省が主催した「就業環境整備・改善支援事業」。ランゲート社はこの事業を受託し、前払い方式で3億6300万円の委託費を受け取っていた。
ところが実際の支出よりも多く経費を使ったように装い、返還すべき金額の一部、約4164万円の返還を免れたという。その手口は巧妙で、同社社員名義で登記された実体のない会社「TACコンサルタント」や「デザインラボ」などを仲介業者として活用。印刷費などを水増しした形で厚労省に報告し、差額分を不正に取得していた。
この仕組みで得た資金は、大中容疑者が社長を務める別会社「京都アセットマネジメント」に“経営指導料”の名目で還流させていた。警視庁は、この資金の流れが少なくとも10億円規模に達する可能性があると見て捜査を進めている。
192事業で82億円超を受注 なぜ防げなかった?
驚くべきは、このランゲート社が2019年度から2023年度にかけて、厚労省から192件・総額82億円以上の委託事業を受注していたという事実だ。官製談合や選定プロセスの不透明性が指摘される中、これほどの巨額が単一企業に集中していたことにも疑問の声が上がっている。
厚労省は今年1月、すでにランゲートとのすべての契約を解除しているが、長年にわたって不正が見過ごされてきた責任は重い。
「どうせまた“チェック不足”で終わらせるんでしょ?」
「これぞ典型的な税金泥棒。厚労省の監督体制どうなってるんだ」
「再発防止って言葉、毎回聞いてる気がする」
「“ペーパーカンパニー”って、もう完全に詐欺目的じゃん」
「10億円流してたのに今さら逮捕とか、遅すぎない?」
元取締役は容疑認める 主犯格は否認
警視庁に逮捕されたもう一人の容疑者は、元取締役・西村崇容疑者(54)。彼は容疑を認めている一方で、大中容疑者は「全くの事実誤認」と否認している。だが、西村容疑者は、大中容疑者の指示でペーパーカンパニー経由の資金送金を行っていたと供述している。
警察は、2人による組織的な詐取行為だったとみて追及を強めており、今後さらに過去の委託事業にまで不正が広がっていなかったかを調査する方針だ。
問われる省庁の監督責任と制度の脆さ
「概算払い制度」は、本来であれば迅速な事業遂行を目的とした制度だが、今回のような水増し請求には極めて脆弱であることが露呈した。特に、ペーパーカンパニーを通じた多重取引で金をかさ増しし、還流するという古典的な手口が、何年間も見逃されていたことは重大だ。
厚労省は「再発防止に向けて対応していく」としているが、具体的な監査強化策や制度見直しについての発表はまだない。監視機能があまりにも形骸化していたとの批判は避けられない。
行政の委託事業を巡る不正事件はこれまでも繰り返されてきたが、今回のケースは金額・期間ともに大規模かつ長期にわたっており、制度設計そのものへの抜本的な見直しが求められている。