2025-05-30 コメント投稿する ▼
介護福祉士国家試験に「パート合格」新制度 受験者の負担軽減と人材確保を狙う厚労省の改革
介護福祉士国家試験に「パート合格」制度導入 働きながらの受験者を後押し
介護業界の人材不足が深刻化するなか、厚生労働省は2026年1月実施の国家試験から、新たに「パート合格」制度を導入する方針を正式に通知した。この仕組みは、試験科目を3つのグループに分けて個別に合否を判断するもので、特に就労中の受験者にとって柔軟な受験環境が整うことが期待されている。
試験を3つのグループに分割、合格パートは2年間有効
新制度では、筆記試験全体を3つのパートに分け、各パートごとに合否が出る形式となる。受験者はまず全パートを受ける必要があるが、仮に一部で不合格となっても、翌年・翌々年はそのパートのみを再受験すればよい。再度合格すれば、そのパートの合格は2年間有効となる。さらに、既に合格したパートを再受験して合格すれば、合格の有効期間を更新できる。受験料は従来通り一律18,380円で、受験パート数に関係なく変わらない。
導入の背景にある介護人材の慢性的不足
制度導入の背景には、近年の国家試験受験者数の減少と介護人材不足がある。特に外国人や働きながら受験する人にとっては、試験へのハードルが高く、受験そのものを断念するケースも多かった。厚労省は「多様な状況にある受験者に対応する仕組みが必要」として、学習計画を立てやすくし、段階的に資格取得を目指せる制度設計を進めた。これにより、より幅広い層の受験者を確保し、介護現場に必要な専門職人材の育成を促す考えだ。
合格しても一部だけでは介護福祉士と認定されない
ただし注意点として、パートごとに合格しても、その時点では「介護福祉士」の国家資格を取得したことにはならない。そのため、人員配置基準や報酬加算の対象職員として扱うことはできない。また、合格率は従来通り試験全体の数値のみが公表され、パートごとの合格率は開示されない。受験申込書も新制度に合わせて変更される予定で、受験者は全パートか一部パートかを選んで申請することになる。
ネット上でも賛否両論
SNS上では、この新制度に対してさまざまな声があがっている。
「一発合格が難しい試験なので、分割して受けられるのは現実的でありがたい」
「働きながら試験勉強してる人には朗報。でも合格パートの有効期限はちょっと短くない?」
「制度が複雑で分かりづらい。介護福祉士って簡単に取れる資格じゃないし」
「質の担保ができるかが心配。簡素化しすぎでは?」
「外国人の受験支援にもなる。もっと早く導入してほしかった」
資格取得へのハードルを下げ、人材の裾野を広げる
厚労省は、制度の円滑な運用に向けて受験者への情報提供やサポート体制の整備にも力を入れる方針だ。現場からも「長年求めてきた制度改革だ」と評価する声が上がる一方で、「試験の質が下がらないか」「現場での評価が分かれそう」といった懸念も聞かれる。
今後は、制度の実施状況や受験者の動向を注視しながら、必要に応じた見直しも含めて柔軟に対応する構えだ。介護福祉士を目指す人にとって、今回の改革は新たな一歩となりそうだ。