2025-05-19 コメント投稿する ▼
厚労省が都市型在宅介護の新モデル提示 ICT活用で24時間対応体制を構築へ
都市型在宅介護、次世代モデルへ 厚労省が24時間体制の新構想提示
高齢化が進む都市部で、これまでの介護サービスでは支えきれない現実が迫る中、厚生労働省は新たな在宅介護の仕組みづくりに着手した。5月19日に開かれた社会保障審議会の介護保険部会で、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などを活用した24時間対応型の新モデルが議題に上がった。
対象は、今後急増が見込まれる都市部の独居高齢者や重度要介護者。限られた人材で広がるニーズに応えるため、テクノロジーと既存サービスの融合によって、切れ目のない介護体制を築くという。
次世代型在宅ケアの骨格
新モデルは、利用者の生活状況に応じて、訪問・通所・緊急対応などを柔軟に組み合わせる包括的なサービスの構築を想定している。センサーや通信機器を通じて日常の見守りを行い、異常があれば即時対応。家族や医療関係者ともリアルタイムで情報共有できる体制を整えることが目標だ。
また、今ある訪問介護や通所介護、夜間対応型サービスなどとのすみ分けや再編も論点となっている。特に、「定期巡回・随時対応型」サービスをどう位置づけるかは、今後の制度設計に大きく関わってくる。
「ポスト2025年」に向けた課題
2040年にかけて急増する後期高齢者を見据え、特に人口の集中する東京圏や大阪圏ではサービスの質と量の両立が問われている。厚労省は4月にまとめた専門家会議の報告書でも、都市部向けにICTやAIを活用したモデルの必要性を示していたが、今回はそれを制度改正の「たたき台」として明確に打ち出した形だ。
ただし導入にはハードルも多い。プライバシーへの配慮、ICT機器を使いこなせる人材の育成、費用負担の在り方など、現場とのすり合わせは欠かせない。財源の問題も大きく、単なる理想論に終わらせないための地道な設計と調整が求められる。
現場と国民の期待と不安
現場の介護従事者からは「これで夜中の急変にも安心して対応できるようになるかもしれない」という期待の声がある一方、「ICTに頼りすぎると本来の人のぬくもりが失われるのでは」といった懸念も根強い。ネット上でもさまざまな反応が見られる。
「これは革命的だと思う。独居の親を持つ自分としてはありがたい構想。」
「現場の負担軽減にはなるけど、機械に任せきりになるのは少し不安。」
「こういうモデルが本当に機能すれば、都市部の介護崩壊を防げるかもしれない。」
「導入に向けた実証実験は必須。高齢者にICTが使える前提で話が進まないようにしてほしい。」
「コストとプライバシーへの配慮、しっかり詰めてからじゃないと反発もあると思う。」
制度改革のゆくえ
厚労省は今後、このモデルを制度化すべく、報酬制度やサービス提供基準の見直しを進める考えだ。都市部における介護の現場は、限界を迎えつつある。その再構築の第一歩として、ICTを駆使した24時間対応の包括ケアは、単なる試みではなく「必要に迫られた現実的選択」と言えるだろう。
今後はモデル事業の立ち上げや自治体との連携を通じて、制度設計の具体化が急がれる。ポスト2025年、在宅介護の風景は、今とはまったく違ったものになるかもしれない。