2025-09-11 コメント投稿する ▼
物価高騰で医療団体が支援要請 診療報酬「10%超」要求に歳出圧力強まる
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会は11日、医療機関や薬局などへの早急な支援を求める要望書を福岡資麿厚生労働相に提出した。 臨時国会で審議される今年度の補正予算、そして来年度の診療報酬改定において切れ目のない支援を行うよう求め、「まずは補助金で機動的に対応すべきだ」と強調した。 日本医療法人協会の太田圭洋副会長は「10%という数字に驚く人もいるだろう。
医療界・介護界からの支援要請が相次ぐ
物価高騰と他産業での賃上げの波を背景に、医療界・介護界から政府への追加的な財政支援要請が相次いでいる。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会は11日、医療機関や薬局などへの早急な支援を求める要望書を福岡資麿厚生労働相に提出した。臨時国会で審議される今年度の補正予算、そして来年度の診療報酬改定において切れ目のない支援を行うよう求め、「まずは補助金で機動的に対応すべきだ」と強調した。
日本医師会の松本吉郎会長は「政局は厳しいが、物価高騰や賃上げに対応できる補正予算を組んでほしい」と発言。さらに「多くの診療所が赤字経営に直面している。歯科や調剤薬局、介護施設も状況は厳しく、既存予算を削って補填するようなやり方はもはや不可能だ」と危機感を示した。
病院団体も「経営危機」と警鐘
病院経営者の声も切実だ。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会など6団体は10日、厚労相に要望書を提出。「病院の経営は危機的状況にあり、このままでは病床閉鎖や地域医療の崩壊が現実化する」と警告した。
特に診療報酬については「10%超の引き上げが必要」との主張が目立つ。日本医療法人協会の太田圭洋副会長は「10%という数字に驚く人もいるだろう。しかし、物価上昇が進む日本で医療を持続的に提供するには必要不可欠だ」と訴えた。
高まる歳出圧力と政治判断
医療・介護分野の要請は、歳出圧力の強まりを如実に示している。燃料費や物価上昇が医療機関の経営を直撃し、職員の処遇改善も不可欠な中、国庫支出の増大は避けられない。こうした構造的課題にどう対応するかは、今秋の臨時国会での最大の焦点の一つとなる。
ただし、補助金や報酬改定といった手法は、短期的な支援にはなり得ても根本的な財政健全化の課題を先送りする側面を持つ。すでに国家予算の社会保障関係費は膨張を続けており、医療界の要望が通ればさらなる財政負担は必至だ。
「医療は必要だが、財源はどこから出すのか」
「国民も負担増を迫られるのでは」
「現場の苦しさは理解するが、10%超の報酬改定は現実的か」
「物価高に応じた支援は不可欠だ」
「補助金頼みでは持続可能性がない」
こうした世論は、医療界の訴えに理解を示しつつも、国家財政とのバランスを懸念している。
診療報酬「10%超」要求が意味するもの
診療報酬を10%超引き上げるという要求は、従来の改定幅と比較しても極めて大きい。過去の診療報酬改定はプラスでも数%にとどまることが多く、二桁の増額は異例中の異例である。医療の持続可能性を確保するという観点では理解されるが、一方で財源確保策をどう設計するかが避けて通れない課題となる。
医療団体は「国民の命を守るためには必要な投資」と主張するが、国民の間では「給付金や補助金をばらまくより減税で可処分所得を増やすべきだ」との意見も根強い。補助金頼みの「場当たり的支援」ではなく、持続可能な制度設計が問われている。