2025-09-01 コメント投稿する ▼
介護保険が2023年度3285億円黒字 基金1兆円超でも高まる負担感
介護保険2023年度決算、3285億円黒字 基金は1兆758億円に
厚生労働省が8月28日に公表した「2023年度介護保険事業状況報告」によると、介護保険制度は3285億円の黒字決算となり、準備基金は1兆758億円に達した。介護サービス利用者は増加傾向を続けているが、財政面では余裕を確保している格好だ。
第1号被保険者(65歳以上)は3589万人で、前年より0.1%増。世帯数は2552万世帯と0.4%増加した。65~74歳が1571万人、75歳以上が2018万人を占めている。要介護・要支援認定者は全国で708万人、そのうち695万人が第1号被保険者であり、認定率は全国平均で19.4%だった。
「これだけ黒字なら、保険料をもっと下げるべき」
「地域差が大きすぎる。公平性をどう担保するのか」
「高齢者が増えているのに黒字なのは意外」
「基金が1兆円超えは貯め込みすぎでは」
「介護現場への投資に回してほしい」
利用者数の推移と特徴
認定者のうち、65~69歳が20万人、70~74歳が48万人で、要支援1~要介護2の軽度認定者が約66%を占めた。居宅サービスの受給者数は5059万人(うち第1号被保険者が4951万人)で、要介護1が1336万人と最多で全体の26.4%だった。
地域密着型サービス(介護予防サービス)の利用者は1097万人で、要介護1が326万人(29.7%)。施設サービスの受給者は1152万人で、要介護4の人が420万人と突出しており、要介護4~5の重度者が全体の61.9%に上る。
市町村独自の取り組み
移送、配食サービス、寝具乾燥やおむつ支給など、市町村特別給付(横出しサービス)の累計は75万件で、費用額31億円、給付費26億円に達した。地域のニーズに応じた施策が展開されており、自治体の工夫も見える。
財政面の黒字と今後の課題
介護保険料の収納率は99.4%と極めて高く、年金天引きでの収納額は2兆4320億円。介護保険特別会計の歳入は12兆3106億円、歳出は11兆9821億円で、差し引き3285億円の黒字となった。準備基金は1兆円を超え、将来の給付増加に備えられる水準だ。
しかし一方で、現役世代や高齢者の負担感は強まっている。高齢化が進む中で「財政が黒字なら保険料引き下げを」という声や、介護現場の人材確保・待遇改善に資金を回すべきだとの意見も根強い。
介護保険黒字決算と高齢社会の課題
介護サービス利用は増えているものの、財政は黒字を維持している。今後の課題は、この余裕をどう活用するかにある。基金を積み増すだけでなく、保険料の見直しや介護人材の待遇改善、地域格差の是正など、国民に還元する仕組みが求められている。